愛情が多過ぎる家庭。

110 愛情が多過ぎる家庭。

White Day 2019

 お願いした。海と港が見える丘へ連れていって。

「ドライブデートしよう」

 忠弘は嫌がった。
 
 

 たたずむ老人。
 ろくにあいさつもできない姿はまるで野生のいきもののよう。

 直径50cm程度の、黒い丸い石のそばで。

「たー坊。いま、どう……すごしている?」

 決して手を離さず握りつづけた。甘えて、ちゅうちゅうキスした、頰にも。

「ね、忠弘。どう?」
「さぁ、や……」

 べろりとキス。

「私と逢えて、どう?」
「幸せだ! さぁや、しあわせだ……」

 そのまんま、

「帰ろっか」
 
 

 手をつないで。

「毎年こよう、ね?」
「……さぁ、や」
「いつ、が……なの?」
「……冬休み……冬至、寒くて……そらに虹がかかるんだ……」
「夜の?」
「うん」
「妻も見たい。連れていって」
「だめだ。寒い」

 よりぎゅっと抱きあった。

「……あった、かい」
「毎年冬至にこよう。お花をちゃんと準備しようね」
「……さぁや」
「妻はオーロラも見たいな」
「……だめだ。寒い」
「いつか有弘が見るよ。宙いっぱいの」
「……見えないんだ、さぁや。
 熱くて……」

オーロラは有弘が大気圏外から。