愛情が多過ぎる家庭。

110 愛情が多過many over-loveぎる家庭。

 海が、港が見える丘へ連れていって。お願いした。

「ドライブデートしよう」

 忠弘は嫌がった。
 
 

 たたずむ老人。
 ろくにあいさつもできない忠弘の姿は、まるで野生のいきもののよう。

 直径50cm程度の、黒い丸い石のそばで。

「たー坊。いま、どう……すごしている?」

 嫌がる忠弘の手を決して離さず握りつづけた。甘えて、ちゅうちゅうキスして、頰にも。

「ね、忠弘。どう?」
「さぁ、や……」

 べろりとキス。

「私と逢えて、どう?」
「幸せだ! さぁや、しあわせだ……」

 住職さんを一切見ず、

「帰ろっか」
 
 

 手をつないで。

「毎年こよう? ね?」
「……さぁ、や」
「いつ、が……なの?」
「……冬休み……冬至、寒くて……そらに虹がかかるんだ……」
そらに?」
「うん」
「夜の?」
「うん」
「妻も見たい。連れていって」
「だめだ。寒い」

 よりぎゅっと抱きあった。

「……あった、かい」
「毎年冬至にこよう。お花をちゃんと準備しようね」
「……さぁや」
「妻はオーロラも見たいな」
「……だめだ。寒い」
「いつか有弘が見るよ。宙いっぱいの」
「……見えないんだ、さぁや。
 熱くて……」

オーロラは有弘が大気圏外から。