103 君とともに。
White Day 2019
趣味の話、専門用語だろう。なにをいっていたのか、
「会社で、あちこちから命じられ仕事量は増える一方、残業代は出ない。
どうすればいいか。
効率化を考えたな?」
ほかにやりようがない。
「マシン操作するときもっとも非効率的な作業は?」
「……キーボードから手を離して、マウスのありかを探して、つかんで、左クリックするまで。マウス操作をおえて、キーボードに指を戻して、ホームポジションを探るまで」
「同じだ。一刻を争い、むだを捨てた。
. 001秒を削っていたな? マウス操作だけではなくキーボードの打鍵も。自分で考え正確に。結果がワープロ検定1級だ」
「……まあ」
「画面をにらみつけ、マウスに手をのせ、誰かが席を立ってから帰宅する。
そんなやつらに限ってやるべきめんどうで嫌な用事を次からつぎへと押しつける。
最速で業務をおえたから定時に帰るのに、誰もいい顔をしなかった。始業は一秒でも遅れれば半日欠勤扱いで減給したのにな。
仕事ができないやつは大嫌い。上司でも同期でも先輩でも話せるやつはほぼいなかった」
「……うん」
「誰にも教わらず盾にせず、誇りをもって仕事し、自力で考えタイムアタックしていたさぁやと訪れたかったんだ。遅い時間までつきあわせてすまない、旅はまだまだ続くぞ」
混じり気のない愛情とともに、ゆっくり眠った。
二日後。
忠弘がぜひ訪れたかった名所、アウトバーンへとゆきつく。
男のボルテージは上がりっぱなし。
「俺の夢だ! 高速疾走に最適の造り。皆ぶっ飛ばす。最高だ!」
景色が流れるのが速い。まわりに雪があるが路面にはない。
「速くとも安定しているだろう?」
理解不能。
「交通マナーはいい、道路状態もいい、車は燃費も高速域に強い。次に生まれ変わるときは一緒にこの国に生まれような!」
むりです。
「毎日走る! ぶっ飛ばす!!」
何者なのこの男。
トイレ休憩のためSAごとに律義に停めてくれる。
「このままではあまりに俺色すぎる」
はい。
「観光兼買い物はどうだ? 異国のおみやげだ、珍しかろう」
クリスマスプレゼントを現地調達か、なるほど。
いざ本道に戻れば、
「くくく……ここで結婚式を挙げようか!」
つましい話はどこへ。
「ここに引っ越そう!」
理力の暗黒面にひきずりこまれたら二度と出られない。
音速を超えたなら、重低音にやられたら二度と戻れない。車体機器をそろえて初めて知る速さ、音に創造主は思いをこめている。
ずっと溺れていたい。浮かび上がらなくともいい。沈んで、もっと深く、もっと速く。
まともに学校へいっていたら戦闘機のパイロットになっていた。車輪がついている機体では最高速度が限られる。宙を飛びたい。音速を超え、大気圏を突破して。
200 ПО ВСТРЕЧНОЙ
05 .30 минут
もしも俺以外と……だったなら。Полчаса、30分後。
この爆弾で、君と。