忠弘の誕生日。

101 忠弘の誕生日。

 ドライブデートで新居に戻る。

「いま何時?」

 時計を見るえろいしぐさが見たかった。

「午後1時45分」

 ああうっとり。

「時間があるんだな? 視聴室で〝O嬢オーじょうの物語〟を見よう」
「なんでしょうそのいかがわしいタイトルは……」

 うわさには聞いたことがある。

「さぁやは存在自体いかがわしいが」
「なかなか反論できない」

 ふたりでソファーに座り、見たはいいものの。

「ねえ……展開、強引すぎない?」
「なぜあれほどぼかしがでかいんだ? あの無意味な白はなんだ、興を削ぐ」
「倒錯すぎてついていけない」
「鼻も心臓も鍛えまくったのに」
「なんであんな格好させるの?」
「さぁやがいうか?」
「こんなのを見たいって。やっぱり沸騰したかったんでしょう?」
「タイトルとあらすじを聞かされただけだ。いまとなってはさぁやとの万年新婚生活のためにあったな。見て、沸騰して。脱がせる」
「……あのね」
「俺がご主人さま。さぁやは俺にご奉仕だ」
「いつもだよね……」
「ときにさぁや」
「……なに」
「そろそろ、剃っても」

 ぶん殴り視聴中断。マスターベッドルームへ直行した。
 忠弘が扉をぶったたき、

「怒らないで、捨てないで、俺を愛して、さぁや開けて、脚を」

 ……もう。

「き・て」

 瞬時にやってきて即座に覆いかぶさる、0ゼロ距離満点の色気。

「今日も楽しくエロアイテムを買おうな」
「もってなんですか、もって」
「これなんかどうだ?」

 どこから出すのそんな物。

「どういう趣味……」
「確かに挿れただけ、どころか欲情するだけでイけるがな。刺激は多種多様にあったほうがいいだろ」
「……そう」
「さぁやもだろ」
「……はいはい」
「生返事はなしだ。生以外しないが」
「……そう」

 よちよちとご対面はそう遠い日ではないな。

「さぁやだって好きなくせに」
「……どうして、そんな手錠とか首輪とか」
「なに、ありきたりでつまらない? さすがさぁやだ」
「……あのね」
「俺としてはやはり、ソフトSMくらいはしてみたいのだが」
「……くらいってなに」
「すけべな下着姿を見せるんだろう、挿れている最中に……暴発するところだったぞ」
「……なに。淫乱な人妻はきらい?」
「AVのタイトルよりエロいな……そんな格好で表に出て、これ以上俺以外を勃たせるな」
「そんなの知らない、忠弘だけ」
「前から一度聞きたかったが」
「……なに」
「下着主義か、真っ裸主義か」
「まるで究極の選択みたいなことを……じゃ、忠弘はどっちがいい?」
「常時下着姿。のち俺に脱がされ真っ裸主義。がいい。
 ただしあの下着だけはやめてくれ……」
「……はいはい」
「だめって言ったろ」
「だって……忠弘に、好きにされたい」

 たっぷり好きに致されました。
 
 

 ケーキを作れたのはまさに気合。夫に鍛えられた。

「た・だ・ひ・ろ、愛している」

 やればできる。

「待っていてね、いま誕生日プレゼントも持ってくるから」
「……?」

 見てのお楽しみ。
 非力でも盆2つ、なんとか強引に持っていける。

「はい、これ」

 小学校の給食、そのもの。
 あの盆、器、箸。コーヒー牛乳もつけて。できればコッペパンがあるといいが、今日はご飯ものとした。

 あのまんまだよ? 喪って、食べたこともないでしょう?

「私の真心、もらって?」

 さあ、いただきます。今日は私がおかわりを盛ってあげるから。
 そんなに泣かないで。味わって食べて。
 いつでも作ってあげるから。一生作ってあげるから。
 
 

 食後も泣きやまない5歳児のために、ケーキにろうそくを24本立てて、火をつけてあげる。

「ハッピーバースデー、ディア・ただひろ……ハッピーバースデー・トゥ・ユー……」
「……ケーキがこんなにうまいものだとは知らなかった、初めて味わった……」

 即、襲われた。