滂沱。

79 まんが編 滂沱。

滂沱。

 俺の名は山本忠弘。滂沱でも鼻血でもない、一介のぱんだだ。

 なに? どこがもふもふしている、だと?
 しているだろう、さぁやいわく。さぁやしか知らん。

 なぜ、ねこでもいぬでもなくパンダなのか。聞きたいが怖くて聞けん。
 俺はなぜここまで恐妻……これ以上は怖くていえん、になったのか。あのあたりまでは強気でいられたのに。あの調子でよかったのに。
 気がつけば形勢逆転。いつもびくびくおびえている。

 甘えていい、すがっていいという甘言につられたはいいものの。
 喪ったら終わりだ。

 強気に出てみたい。亭主関白になってみたい。世に有名な歌があるのは知っているが恐ろしくて歌えん。歌詞を思い出すたびに慄える。歌わなければ働けないといわれたら俺は一生稼げない。

 今日もひろってください段ボールに入りさぁやを待つ。

 世の同類よ。いるだろう、大勢。わかっている。気持ちを分かちあおう、ぱんだになりながら。