反抗期。

73 記憶鮮明編 鬢の解れは枕の科、顔の窶れは主が科。

 友だちと遊ぶとでかけた忠弘が2時間後、にこにこ笑顔で帰ってきた。一見、愛しの妻にひさしぶりに逢えてうれしい。

「……それ、なに?」
「プレゼント」

 手土産を持参してのお帰り。

「……中身は?」

 寿司のつめあわせではなさそうだ。

「俺は裁縫もできない」
「……そう」

 きれいにかわゆくラッピングされた品を受け取る。愛の巣にひょいとお姫さま抱っこされ連れていかれ、ベッドの上に座らされる。開けろとのお達し。ていねいに開封した。
 中身は、

「……裁縫道具だね」
「うん」

 針、糸、はさみ、布2枚、ピンク色のフェルト2枚。

「肝心の」

 やけに気合を入れて指し示す型紙。

「……YES?」
「うん!」
「……ほかには?」
「必要なのか?」

 必要だよ。

「ほかがあるのか?」

 フェルト2枚からYESを2つきりとり2枚の布に縫いつけた。喜色満面な忠弘のたっての願いで枕の裏表に縫いつけた。

「もう、これでないと眠れない」
「……よかったね」
「さぁやもだろ」

 即、襲われた。