淫乱キャット。

71 記憶鮮明編 淫乱キャット。

「……さぁや、か」

 近寄っても、逃げず隠れずひるまず。道のど真ん中に堂々と鎮座。
 手をのばし、頭をなでた。

ふん。それがどうした。

 首のわきをゆるゆるなでた。少しだけ気持ちよさそうにする。
 気をよくしておなかをさわろうと、

 にゃ~!!

 抗議を受けた。しゃきんと爪がのび、猫ぱんちの前脚が手の甲をかすめる。

「すまない、つい」

 動物のおなかは急所だ。そうとう親しくなければ、

「さわり……たい」

 手をのばす。爪を出して警戒する猫。

「さぁや……」
 
 

「こんな夢を見たの」
「逆夢だ」

 万年つながり一心同体の夫婦でも、自分が見たわけでもないあいまいな夢にまで責任を負えとは。
 口にだせない、どうご機嫌とりしよう。

「夢じゃない忠弘の、私の猫姿って、どう?」
「血統書つきじゃないな……」
 
 

 顔に複数のひっかき傷が……勲章だそうだ。

「ど。動物が腹を見せるのは、……気を許したの証というの、で……」

 調教したい、服従させたかったのに。
 ベッドの下であおむけになり、手を猫の前脚のようにちぢこめ、

「……にゃあと鳴けばいいのだろうか」
「そのポーズ、よく見ているから。ほかの」

 ないた。