未来予想図 忠弘。

65 記憶鮮明編 未来予想図 忠弘。

 風邪をひいてしまった。

 心配されるから、ふだんはこの程度なら飲まない薬を飲むことにした。なにせたくさんもらったから飲んでといわれていた。「効果が持続!」「強力」書いてある。早く治るに越したことはない。

やめて!!

 鋭い声がした方向に……手をあてる。だって周囲には誰もいない。おなかに……子宮のうえ……に。
 声は複数だった。男女、子どもが重なりあって……。

 忠弘に伝えると、

「俺も、夢を見た」

 ころころよちよちの赤ん坊。ずいぶん穏やかで。そっくりな顔の2人は男の子と女の子。

「俺は有弘と。さぁやはレイアと呼んでいた」

 山本家は代々、男児に弘の字をつける。

「俺は正夢しか見ない。たぶん……」
 
 

 そんな夢を見た。

「……どうして」

 あんなに生々しく。

 ずっとつながりあっている。目が覚めていなければ「さぁや、起きて。愛している」とか致して。起きていたら「さぁや、起きていた? 愛している」とか致して。
 そうすればどうなるか。確かに、……でも。

 少年のころ、闇夜にまぎれ見あげつづけた満天の星。治る間もなく負いつづけた心と体の傷。

 男の子はずっと見ていた。宇宙を。
 女の子はずっと見ていた。傷を。
 
 

 穏やかだった。とても、とても。
 ねえ、もう……ここに、いる?