夢の話 忠弘。

59 記憶鮮明編 夢の話 忠弘。

 浮気される夢を見てしまった。

 ありえない? いいや、ありうる。
 さぁやならありうる。なにせ美人だ。俺だけの美人だが、最近は周囲も己が節穴を修正しはじめたらしい。んなもん直さんでいい。

 最近とくに。

 ……なに? 俺に惚れたからきれいになったと自惚れているな、だと?
 どこをみてそんなせりふが出る。万年地獄だなんとかしろ。なんともないかのように一見スルーしてきたが、惚れた女に鳥肌がたちますといわれてみろ。ほかも一字一句が地獄いきだ、谷底だ。20年いつづけの俺は生きているが、ふつうならとっくの昔に死んでいる。

 夢ではさぁやが、複数の男に次から次へとまたがっていた。

 なにがあっても辞めさせてやる。家に閉じこめ一歩も出さず、あんなことやこんなことばかり致して犯る。
 その前に。なにやらいま、のちに一杯のお茶事件と呼ばれる事態が進行中らしいが。んなもん知ったことか、逢ったら抱く。
 さぁやが浮気? ありえん。いや、ありうるだろうがさせん。
 
 

 世には心がもらえないのならからだだけでもという言葉がある。ひとごとだった。

 ……現在、いまの俺の状況だ。

 言ってはもらえないのだろうか。性の快楽で? さぁやに自惚れは通じない、なにも。
 あんななまなましい水音つきの夢を見たのだろうか。疑ったのだろうか。

 喪えというのか。

 だったら、もう。