夢の途中。

51 夢の途中。

 なんとかカレーのできあがり。

「忠弘。ダイニングのガラステーブル、このふきんでふいてきて」
「うん」

 せっせとカレーを盛る。超特盛り3つと並盛り1つ。
 キッチンに戻ってきた忠弘へ、

「ありがと。テーブルに持っていって。お茶くみの要領だよ、こぼさないでね」

 大きなお盆にカレー4つをのせた。

「なかなか難しい。さぁやにとっては重くないか。いつもこうしていたのか、箸より重い物を持つな」

 教えがいがありそうだ。

「体がなまるだけだよ。適度に運動しないと風邪とかひいちゃう」
「困る。毎日風邪薬を飲め」

 過保護か。

「真っ裸でうろつく率は忠弘のほうが高いよ、風邪ひかない?」
「体は頑丈だ」

 いただきますと声をあわせる。空腹すぎてしみいるよう。
 基本ができていないから反応が気になる。何食わぬ顔をして忠弘の反応をうかがった。
 滂沱でがつがつ。幸せいっぱい、おいしいよさーや。叫びが聞こえてきそう。よしよし。

「旧宅で、どうして眠るとき脱いでいたの? 上下とも。お風呂から出たときパジャマだったじゃない」
「むろん、さぁやにいつ襲われてもいいように、真っ裸で常時臨戦態勢だった」

 どうしようもない。

「どうやって熟睡したの?」
「俺もわからん」

 山本家の七不思議、残りのひとつだ。

「まさに気合だった。寝室には襲いたいさぁやが観音様状態でいたからな、抜きまくらなければ眠れなかった」

 不思議が解明されたじゃないですか。

「連れこんだ日までは妄想で扱いたが、拝めて以降は実物で扱けた。さぁや、挿れたら抜かん、飯後押し倒す。最初にパイズリして」
「ご飯を盛る練習、する?」

 迷っている。なかなか難しい問題を出せた。

「三食ちゃんととろうね。もう私のせいで忠弘の体重を落としたくない」
「忘れた」

 いい男だなあ……。

「ごはんを食べたら体重を量ろう? 制服、ゆるかったんだよね」

 忠弘が耳をぴくりとさせた。自覚はあるもよう。脱衣所へ。

「いやな予感がするが教えてくれ。前に量ったときは何kgだ」
「45kg。忠弘は?」
「85kg、190cm」

 体重計にとんと乗った。

「やった、2kg減っている!」
 
 

 忠弘が台所に立ち、やかんに水を入れた。

「俺の手料理を死ぬほど食え、さぁや」

 さっきカレーを食べました。

「カップラーメンなら食品寄付先に送ったよ、とっくに」
「……いつのまに」
「あんなに仕事できるのに。応用で、やってみたくない? なんとか盛りしたいんでしょう」
「……答えられない」

 やはり料理を勉強しよう。

 書斎で、後ろから乳房をもまれ、耳に舌を入れられ、おしりに怒張を感じながらレシピを検索。

「……もう……ごはんが作れないよ」
「作って」

 甘い声。激しいのと落差がありすぎる。

「ね……実家の、お母さんに料理を習いたい……」
「だめだ」

 強い声、完全な否定。いきなり、どうして。

「……お母さんでも?」
「だめだ。通話もだめだ。携帯電話は没収だ。
 4か月後は握りしめていろ、夜中でも連絡する。必ず出ろ。必ず見ろ。すぐに返事を出せ。必ずだ」
「ん……いいよ……もっと命令して……」

 落差がたまらない。

「なんだ。隠語じゃなくとも感じるのか」
「忠弘がいうこと、全部感じる……忠弘を想うだけで……想っていないとき、ないけど……」
「うれしいが、つらいだろう? 俺とて万年挿れていたいが、抜きたくはないがそうもいかんぞ……」

 激しくもまれて、愛情いっぱいなでられて、舌と声が耳に直接。もう、

「わからない……ね、こんなに幸せでいいのかな……」
「俺もだ……幸せなど知らなかった、さぁやがいてくれれば……」