49 変態して待っている
White Day 2010
「飲み会しよう? 忠弘と私。一課長と秘書、そのお相手さん5人、いきつけの酒場で」
「今度はどの客を勃たせる気だ」
「貸し切りだって」
「ならいい」
ほっとひと息。
「すぎた昔をしつこく語るつもりはない。だがな。
渡辺君とやらと密室で楽しく2人きり。知ったときの心境を少しはわかってくれ」
「……うん」
かなり反省。
たとえば、その気がある木下と忠弘が2人きりで夜、飲んでいたら?
こうして私は口がうまい営業職の夫から許可をいただくことができたのです。ああよかった、友だちとの約束をなんとか守れてほっとした……。
「……おっほん」
視線が床をはっている。
「2通の怪メッセージで知った」
「え?」
かいって、怪獣の怪?
「おっほん! ……1通目は昼。前にも入ったアカウントから。

状況をお知らせします。あいさつは通じていないようです。会社ではなく、家に連れこんだらどうです?
2通目は夜。

酒場にいます、迎えにきてください。
誰かわかるな」
……ったく、このぉ……今度会ったら火ぃふいちゃうぞ。
「合コン現場に急行できたのもあの人物からの怪メッセージでだ」
蛾の怪獣になろうかあ!?
「おっほん!」
がぉー。
「……式を挙げるまでは敷地内から一歩も出さん」
きりりと音が聞こえるほど凜々しい表情。サディスティック形態変化にも負けはしない夫の気概、ひしひしと伝わる。
「……あの、ね」
「だめだ」
「……散髪くらいはしたいでしょう? 私もするよ。髪ぼうぼうはどうかな……」
「なんだ。日本一の店にでもこい、か」
ちょっとくらい出してよぅ。
「身だしなみは整えなければな。さぁやにもてたい、気を使っていた」
気合入っていたもんね、あのスーツ姿……。
「日本一は俺の髪質をよく知る友だちの店だ。ほかは行かんぞこれからも」
「えーっと……私は?」
友だちの店で?
「……さぁやがきれいになるところはこれからも見たい。どこかは知らんが一緒に行くぞ」
よし、えらい私。まっちを売ったかいがあった。
「ほかは」
「以上かな」
「わざと話をそらしたな」
「なんのことかな」
「4か月ふたりきり。犯りまくり天国。ばんざーい」
ああ……。
「家を探検しよう、さぁや」