怪光線。

41 怪光線。

SUN, 1 FEB 2009

 裸眼で抱きしめられてどきどきした。情にほだされお引っ越し。

「婚約指輪に結婚指輪。どうするのかな」
「重ねづけする人もいるわね。実際は、家事のとき気になるでしょう」
「いい案はある。山本某に聞きなさいね、きっといい答えを返すわよ」
「ふうん……」

 プライドのある大人が食事のたびに泣く。

「あの日からどうすごしていたか聞いた。
 ……こたえてもらえなかった」
「そう。
 確率は半々、本人もおそらくそうとう迷ったはず。
 あの半生が少年の根幹、尊厳に関わるわ。彼の意思を尊重して。あなたといえども傷つけてはならない。聞いてはならない、知ってもいけない。
 肝に銘じて」

 うなずいた。

「さあ、続けて。いつ本題が始まるか期待しているのよ?」
「はあ……」

 北海道出張の話をした。

「まさかすすきのへどうぞとか……」

 ばれた。

「こら!!!」

 2人に声をそろえられ、しゅんと小さくなった。

「さあお待ちかね、説教のお時間よ。たっぷり自覚はあるわねえぇええ?!」

 申し訳ございませんの一点張り。

「少しは気が晴れたわ。いいかげん白状してくれないかしら」
「……お待ちのシーンを申しましょう」

 のどを潤すためワイングラスをかたむけた。

「やっと? どうあえいだかまでちゃんと鮮明にいうのよ」
「えぇ……」

 2人が目から怪光線を発した。たじろぎ観念する。

「えー……三日間無視しちゃいまして。せいせいして社内でばんざーい……」

 怪光線がさらに増した。あぶない不穏な光景にちぢこまる。

「……忠弘さまはご帰宅後、とうぜんお怒りで。
 こんな私をぐいっとひきよせてキスですよ。はあ、それはもうねっとり熱く。お2人のご想像以上でした。すぐ濡れた。
 よく雨にたとえた歌詞を聞くよね。実態がなにかも知らなかったのに。
 一歩手前はこの時点でもなの。なぜか上半身にとどめてくれた、理由不明。どう命じられてもこわくて聞けない。
 冷たくて真っ暗な奈落の底の表情……目が死んでいた。
 たぶん、5歳以降はずっと……」
「……そう」

 しおりが3つのグラスを満たす。

「実態はやはり、聞かなければわからないわね」

 3人とも、めいめいのペースで注がれた赤を飲んだ。

「たしかに私が全部悪いけど。飯を作れ、愛していると言え、名前で呼べ、結婚しろ。
 命令ばかりはさすがにぶち切れて、山本家の禁句をあるだけ叫んだ。
 忠弘、激変して……。
 はーいお待ちのシーンでございます」
「やっと?! 前置きが長すぎる!!」

 2人の目の輝きが一瞬にして危険度レッドゾーンに達する。

「はいはい……させられましたよフェラチオ。なんですかもう目の色変えちゃって。
 一言いい? 精液まずい。
 わかっていますよ知りたいんでしょう、例のがどうかって。
 ばーっきばきに太くて硬い。どれくらいか? ええみました私だってそれなりぃにすけべぇですからねえ、洋のポルノビデオ。出ましたよいかがわしい警告画面が。あやうくデバイスは感染私は特殊詐欺にひっかかり、公共機関名をかたった最終通告書が……え、そこじゃない? はいはい。
 洋だった。両手で扱けるの、あごがはずれるほど口を開けないと咥えられない。あんなの挿るわけない。巨根。
 聞こえはいいけど凶器だって!
 私のこっちは都合よくできていない。本番で満足してもらえなかったらどうしようって御社におじゃましたときも心配していましたようはいはいこれが私の一番の本心でございます! それが聞きたかったあ?! でしょうねえ!!
 生理のときはしないとか……ぜーーーったい犯るよあの男、間違いない。全開で痛がらないとやっていられない。
 毎日毎晩ごはんを作っているときもトイレに至るまでされそう。4か月ふたりきり……ありがたすぎて死ぬ気でかからないと……はぁ。
 よく先週の月曜日も出社できたなあ……一歩手前だから? そんなわけない、強引激しすぎちからわざばーーーっかり!
 なぞのお得意先から連絡があって助かった。もういいよね。
 だめ? はあ……」