35 たー坊。
SUN, 9 NOV 2008
「結婚したよ。父さん、母さん」
海と港が見える丘。
なにも彫っていない黒い丸い石。野花をおく。
すっと立った忠弘が手首を強くつかむ。
「たー坊?!」
背後からした知らない、老いた男性の声。
住職に直接。
いい天気でも、上をかぱっと開けずにドライブ。
「眠って、さぁや。帰ったらぶっつづけだ」
家中で致した。玄関、空き部屋、荷物置場、仕事部屋、風呂、トイレのせまいなかに至るまで。
午後2時にはふたりとも、おなかがぐーっと鳴った。
「ごはんにしよう……」
息も絶えだえ。
「うん!」
夫だけ、生きいきとしてつやたっぷり。
買うのにこつがあるという水を飲んでなんとか復活。
「宅配ピザをとろう。私、めんどうくさがりなの。休日はゲームざんまいで動きたくないのね、すかさずとった」
「すかさず。食いたい、どうすればいい?」
「ピザ店に注文するの。出前ね」
「なるほど、社でよくとるな。あんな調子か」
「そう」
「さぁやはその……」
5歳児丸出しのおうかがい。
「買ってきたピザ生地に買ってきたチーズとかのせて焼くことはあるよ。
宅配にも慣れて。週末は私、致されてこのとおりでしょう?」
「うん!」
「量が多いから、時間はちょっとかかるかな」
「実にいい、それまで致そう」
さっそく襲う体勢。
「配達員さんがきてチャイムが鳴ったら抜いてね。服を着ていくんだよ」
「うん」
50分後。
「もうきたか、いまいいところなのに……」
ずっとあえぎっぱなし。
「宅配も考えものだな」
「……もう。しかたがないから抜いて、早くいって。食べたら襲って」
「むろん」
ずる抜いて手料理をなめとり、ベッドを降りていく。
「もう、服を着て!」
「ああ……そういえば」
どーんとLサイズ7枚。
「もっと食え。スレンダーがなぜ乳も尻も形がいい」
「どうしてむだなぜい肉がないの?」
「営業だ」
「どうせ総務ですよぅだ」
なにせ内勤、空調完璧な一室で座ったまま。
外勤の営業は猛暑極寒のなか汗だく凍えて靴を履きつぶしお帰りは深夜、残業代0。
「明日で退職だ、総務も営業も関係なかろう」
「うん! 夕ごはんの希望ある?」
「千鳥の曲。二つ巴。雁が首」
ピザに手をつけた。
「精液飲み放題のリクエストだ。ああ、顔射がいいか」
聞かなかったふりをした。
「シチューとかどう? カレーのルーがシチューの粉に変わるってだけの」
「固形物だと女体盛りができるんだが」
聞かなかったふり。
「明日の朝ごはんの支度もしたいな」
「バイブはなにがいい? 美穴にぶすり挿してやる。外すなよ、昼飯のとき連絡する」
全部致されそう。
「私の手料理を誰かに見られたらどうするの? 当社は未曽有の混乱中です、のんきにお弁当を食べられないよ」
「ああ……そういえば」
困った夫だ。
「その調子で仕事中どうしているの?」
「むろん。
営業先では愛嬌をふりまきつつ、頭ではさぁやを犯っている。さぁやもだろ」
「……はいはい」
ふりだふり。5切れ目に手をつけた。
「はいはいはなしだ、話をそらすな」
口のまわりにちょっとピザソースをつけながら、
「仕事しながら忠弘に致されまくって濡れまくっていました!」
「うん! ときにさぁや」
なにやら真剣な。やっとまともな話か。
「俺がいないあいだオナニーしまくりたいだろうが体力を減らされても困る」
「ゲームします。新作をそこらで買ってくる」
経験値上げを延々やってやる。
「やめてくれ、俺以外の男を勃たせるな。検索する」
「ゲーマーじゃない人に前やったのを買われても困るの」
「どんなのを?」
「いってもわからないよ」
「いってみろ」
われこそはゲーマー、プレイしたゲームのタイトルは忘れない。
ぺ~らぺらいいつくす。
「わかった、ほかだな」
「……全部覚えたの?」
けっこう数があるのに。
「さぁやがゲーム好きと知って研究した。情報を集め傾向把握、分析、判断、選択。結果」
お金さえあったらねらっていたタイトルがぺ~らぺら。
「……すごい」
負けたらいや。
「ほかの暇つぶしはあるか、オナニー以外」
主婦道を極めてや……お母さんすみません、はじめたばかりの未熟者です。
「性欲そんなにないよ……?」
「あんなになきまくって腰ふって乳ふって尻ふってよがってあえいでおいてか」
させられただけです、そちらさん。
「忠弘がいないとなにもしません」
「むろん。いい、日中はさぁやにお任せだ。昼寝しておけよ、夜に備えて。すまんが昼夜逆転生活してもらう」
「わーお肌に悪そーう」
棒読み。
「困る。どうすればいい」
「夜10時に寝て朝6時に起きるのがいいんだって」
「根拠は」
「成長ホルモンが出てお肌がきれいになるの。妻がきれいになるところ見たくない?」
「……なんだその都合が悪いホルモンとやらは」
「見たくない?」
「見たいが、かわりに出社したらもうひとりで家を出るな。誰をはめる気だ」
「なに。妻がよそみするほど夫に魅力がないの?」
「……まただ。俺はなにしに仕事していたんだ?」