a

「……」
 撃たれた? そ。
(電話ガッチャン)

b

「……」
 感想言え? 句読点込みで三文字以上? そんなことを聞く為にわざわざもう一度掛けたの? そ。
 ダッセー。
(電話ガッチャン)

c

「このおちゃはなんですか」
 なんとか茶。
「?」
 イッチバン淹れたいヤツにはー。名前も訊かれたことナイ。
「……ふー、ん?」
 なんぼメシこさえても、これなんだ、とか、どうやってつくったんだ、とか訊かれない。ただガツガツ食ってんの。
「ふーん」
 ただ飲んで食って。ご馳走さん。そんだけ。オシマイ。
「……むなしくない?」
 もー食いたかねえ、飲みたかねえ。ってー。は言われない。
「あの」
 ?
「うん、わかる。そういうの、いわれたくない。ぜったい、いわれたくない」
 言われたら止めるんだっけ。
「うん」
 俺は止めない。
「……そう?」
 そ。縋っちまうの。ミットモなく。
「……となりのひとでも、そういうことするんだ……」
 なにソレ。でもってなに。
「え。え。だってその。……みっともなくというのが、そうぞうできないといいますか……」
 あんたに見せるワケないじゃん。
「そそそそおですね……」

d

「……」
 なに。寝てるってば。二十時間も寝腐って。目え溶けんじゃねえ?
「……」
 まだ言ってないのかよ。撃たれたんですボク痛いってさっさと言えば? 当人直でな。
「……」
 あんたの女房字汚えぞ前より。
「……」
 しかも漢字一切ナシ。全部ヒラガナ。バッッッッッカじゃねえ?
「……」

e

「わーい。ハタ、ハタ」
 テキトーにブラジル。
「えっとー。えー、……コーヒーまめ、かな」
 今日の鉄道はSL9。
「ふーん。えすえる……。わかんないけど、おもしろそう、このうつわ」
 ケチャップ満点の型押しチャーハンにテキトーハンバーグ。
「ぷりんー」
 市販のな。引っくり返した。
「これはなんというパンですか」
 べっつにー。大した名前じゃないぜ。まるっこいの、でいいんじゃない?
「そうかぁ。あ、このフォークかわいい」
 鋭いのは勘弁ってー。あんたの亭主にゃ散々釘刺されているしー。
「すぷーんもちっちゃい」
 そりゃあ、口小さいやつ用だから。

f

「……」
 寝てるっつってんだろうが。
「……」
 トモみたい? 似てる? そりゃ愛人だしー。
「……」
 ヘイヘイ、あんたの女房ね。だから寝てるってばノンキに。言ったら? とっとと。
「……」
 おちょくる為にこさえたんだけど? お子さまランチ。
「……」
 好評なのはー。どーせイッペンも食ったことないからだろ。ガキの頃ちゃんとガキやっていないと人間人格弊害だらけってかー。いいミホンだね。
「……」
 近所の高飛車女房にも似たようなイヤミ喰らった? トーゼンじゃん。さっさとかっぱらえってーの。お陰でトモが何年も吹っ切れなかったんだぜ。偉えメーワク。
「……」
 今日は珍しくカンゲキした。なんとカタカナが入っていた。
「……」
 あんたもやりゃあ出来んじゃん。島国一のカッコ悪男。
「……」

g

「わー────ぁん──……」
 また迷いやがった。ちゃんと見取り図持たせたってば。見方知らねえのかよ。
「ぁあ──────ん──……」
 ケータイ持てってくらい教育すれば。なんだったら俺ので話す?
「ぅあ────ん──……」
 へいへい。やりやすよ、おシゴトおシゴト。
「──ぅっ、──う、だ、だれですかそこのすみっこの──」
 こいつ用の部屋は二階全部まるごとって言ったじゃん、誰も上がらせるなとかなんとか。
「こわい──」
 階段使わせるななんて後で言うかフツー。設計まるごと変更だぜ、もう就職活動で無っ茶忙しかったのにトモ。首捻ってた。
「こわい──だれですか──あぁ──ん──……」
 なのになんで二階のド真ん中までホイホイ行って泣いてんの?
「こわい──こわい──こないで──あ、あ、かいだん──」
 は? なんで行かせた? 階段ぶっ壊しとけ? コケたら殺してやる? じゃさっさと殺せば。出来るもんならな。
「どーして──だれ──こんなの、──ぅああああ──—ん──……」
 あーああ。這ってケツから階段降りてんの。なんか堂に入ってんだけど?
「お、お、おりた──。えらいです、うめこさん」
 なんで廊下でまで這ってんの? ひょっとしてこれフツー?
「あー、うー、──こ、こわい、ひ、ひとなんていない──ゆーれー──……」
 ホレホレさっさと行けってば。は? 足蹴にゃしてねえよ。
「あ、あれ──と、あいた──あ、あ、──おへや──もどった?」
 ホラ鳴らせ。
「あ、あ、おでんわ──せいじ──!!」

h

「ぅああ─────ん───いたい───」
 宿の外まで這って歩かせる気? サンポ中にコケてなんで俺に文句が来んの。手ぇ繋いで抱き止めりゃいいのかよ。
「ぅああ─────ん────せいじ───」
 ホレホレ、そういう時こそなんだっけ。ああ、持たせたぜ、セッキョーしといた。こっち掛けずにそいつにしたら。
「ぁ、ぁ、───えっと、えっと───おでんわ───」
 掛けないの。ああ、掛け合っちまうか。
「えっと、えっと、───ぅ、ぅ、──ふんっ」
 デンワすんのにふん、ってかー。
「せいじ!! あ、あ、あいしてる────」
 ……ウラヤマシイ。
「うん、うん。ちゅう。いたいの、いたいの、とんでけー」
 わざとコケるって手もあるな。傷口嘗めて貰うとか……。
「えっと、えっと、けがですか、いま見ま……あ、はい。……うん。おへやに戻ってからみます」
 なんだったら眉間に催眠弾撃って姫さんダッコで運ぶ?
「えっと、……だいじょうぶだせいじ、あんしんしていい! うめここけかたうまいです!」
 カンシンなコメントじゃん、コケといて。俺から見える分にゃせーぜーひざ小僧を内出血、擦り傷程度だ。医者? 要らないんじゃない。カットバンで充分。
「えっと、……うん、おひざがちょっといたい。あるけます。は……うん、おふろはかたあし入れません」
 それだとアタマからひっくり返って溺れんのがオチだっつーの。大したケガじゃねえよ、フツーにしとけば。
「うん、うん、わかりました。だいじょうぶそうなら、ふつうにはいります。はい、湯冷めしません」
 カンシンなコメントじゃん、長湯はカーンベン。は? オンナのハダカなんか見たかないね。早く脱がされたい……。
(ボンクラ亭主、テツとの電話はガッチャン)
「うん、だいじょうぶです。せいじ、あんしんしていい。ちず、けいたいにくくりつけてあります!」
 部屋の隅に転がってた携帯に俺が括りつけたってだけだけどー。
「ゆうれいがでたら、ちゃんとおでんわします!」
 二メートル以上離れた亭主以外の生物は認識出来ずってか。
「うん、うん、……あいしてる」
 ウラヤマシイ……。

i

「カットバンをください」
 どんな形がいい?
「うわー。いろいろある。わ、わ。まるっこいのかわいい」
 このガーゼのでかさでちゃんと傷覆えるか。
「えっと、ちょっとよこながにすりむいちゃったのです」
 だったらこっちにすれば。まるっこいのは亭主にねだれ。貼る前にこれを使ってきちんと消毒、きちんと拭く。
「はい」
 滲みるようなら今日は風呂へ入るな。無理に正座しなくていいぜ。脚は伸ばして食事すれば。
「はい、そうします」
 サンポは懲りたか。
「む? ううん、そんなことないです。こけません」
 別にサンポ道に集中しろとは言わないけどー。ヘンに考え事をしない方がいいぜ。せーぜー景色をボーっと観てれば。
「ああ、えっとですね。むいしきにこけるのです」
 ちっとは懲りたら。

j

「……」
 延長? そ。
(電話ガッチャン)

(ボンクラ亭主、電話掛け直し)
「……」
 コメントは句読点込みで三文字以上? あんた無駄口好みだっけ?
「……」
 べっつにー。いいんじゃない? いつでも構わない。そう言った筈だけど?
「……」
 は? 逆襲? バッッッッカじゃない? 無駄口が多いぜ成。ヒマ?
(電話ガッチャン)

j

「……」
 あと一週間? あっそう。
(電話ガッチャン)

(ボンクラ亭主、電話掛け直し)
「……」
 無駄口叩け? そ。
 あんたの女房は四葉探しがお好みのようだぜ。塔の庭にあんの?
「……」
 チャリンコにズイブン執着してたって聞いたけどー。乗せる気は……ないか。コケそ。歩くよか擦りむくな。
「……」
 今年はどうかな、雪……年々減っているんだ。雪ダルマがどうのっつっていたけどー。無理っぽそ。ああ、遊ばせやしないぜ、風邪引くんだろ。
「……」
 年々アッパラパーになって行くな。それでいいけど。
「……」
 延長したから逢えなくなるだろ? そんな気回す必要ないぜ。踏み込むなって怒られるしー。ほんじゃ。

k

「はい、……うん、わかりました。おしごといそしんでね」
 っつったら降るんだもんなあ。しかもドカだ。
「は……うん、……うん。まってます。あいしてるせいじ」
 サスガに寂しそうってか。
「……ぐっすん」
 あんたトランプとかしない?
「……あ」
 ? なに。
「あ、そういえば、げーまー、とかいっていませんでしたか」
 おっ……カンシン。憶えていたんだ。そ、ゲーマー。っつったって、最近はやっちゃいないけどー。
「そうなんだ」
 こういう造りの部屋にいるとさ。そういう気にゃならないしー。
「げーむ。したことありません」
 いいんじゃない? 目え悪くならなくていいぜ。
「あ、はい。いいのです。合わせてさんてんれーなのです」
 ほんで? トランプとかしない?
「あ、はい。します。でも、いいのですか」
 ? なにそのコメント。
「ふふふ」
 にたにた笑いは止めてくんない?
「ふっふっふ。ついにかつときがきましたね」
 意味不明理解不能。
「だいひんみんがとくいなのです、うめこさん!!」
 そ。
「……もうちょっと長めのこめんとをおねがいします……」
 言うコト似て来たな。大貧民ったら階級闘争ってか。ふーん、得意。あんたからそういうセリフが出るとは思わなかった。
「ふっふっふ。みておりなさい、となりのひと。ながねんのうらみをはらしてしんぜましょう」
 ヒラガナで言われてもな。

l

 あんたの女房? ああ、得意がどうのっつってたな。披露してくれるってさ。
「……」←ナニを。
 コレで小遣い十ケタ稼いだ俺に刃向かうったらいい度胸じゃん。焦した分はあんたに請求するぜ。
「……」

m

「む。どこへ行っていたのですかとなりのひと。さてはうめこにおそれをなしたな」
 膳にトランプと茶をふたつ持って行ったらこのセリフ。
「ぬ。いいにおい」
 そのむとかぬとかなんとかなんない?
「はらがへってはいくさにならぬ。ぐい」
 トーチャンと時代劇の観過ぎだぜ。
「さあはじめますよ。……。む。どうやるんだっけ」
 テキトーに切って三分の一ずつ別けて選ばせる。
「わ! なんですかいまの! ぱーって!」
 ひょっとしてカード切ったのを言ってんの? あんたの亭主ならこのくらいやんない?
「す、すごい。まじしゃんみたいです」
 そ。
「ひょっとしてとなりのひとはてれやですか」
 イイ人にはな。
「そういえば、ちょっとてれた、なんていっていましたね。あれはわたしにではないですよね、まじまじなんかみていないもん」
 いいカンしてんじゃん。ラッキ、二が三枚ジョーカー付き。エースがないな。
「じゃんけん」
 ぽん。……ふーん、てっきりパーが出てくるかなと思ってた。
「わたしはぱ〜なので、うらのうらをかくとちょきになるのです」
 いいリクツじゃん。
「じゃおさきに。かくめ〜〜い」
 ズル。……エース四枚持つかフツー。
「ないですね。じゃ、きんぐ、くいーんにじゃっく。じゅうきゅうはち」
 オイオイ。
「あ、七もあります」
 ……パス。
「九、三枚」
 ……ヒッデー。革命返し返し考えてたんだ。
「とーぜんです。ぱすですか」
 ……パス。
「J」
 お。ローマ字……カンゲキ通り越してちっとマジ。十。
「六」
 ……五。
「パスです」
 ふーん。

n

「はい、かくめ〜い」
 ……三を四枚で来るかフツー!
「二」
 ……パス。
「よかった。この瞬間がす……えっと、いいな。四でおしまい」
 ……ヒッデー……。
「ふっふーーん! どおだーーー!!」
 ……。参りました。
「わーいわーい! となりのひとをぎゃふんといわせたーーー。せいじー、ほめてーーー」
 ……。ぎゃふん。
「へっへーーん。どおだ、うめこさんのりれきしょにかけないとくぎその、……わかんない!」
 ……何なんだあんた。

o

「さあとなりのひと! さっきのげいをもういっかいみせるのだーーー!」
 芸じゃねえっつの。ハイハイ見せりゃいいんだろ。負けたから違うバージョン。
「わ! なんですかいまのは! さっきよりはで!!」
 今度は最初っからちっと本腰。
「いいげいをみせてくださいました。ふふふ。おかえしにあの、あーーーのせいじをこてんぱんにしたうめこのとくぎをとくとみるのだ」
 は?
「ふっふん。かったからうめこがだいふごう。にまいください」
 ちっと待て。今なんつった。
「にまいあげる」
 五と七……。って、ちっと待て。あんたの亭主が何だって。
「うめこはなんでもせいじがさいしょでさいごなので、せいじをこてんぱんにしたんです」
 相変わらず現国最悪な返事しないでくんない? ふーん、あんた亭主をコテンパンにしたんだコレで。やるじゃん。
「はい。せいじはおいそがしいですから、ちょっとだけよと言って。でもね、おこられたけど」
 だーかーらー。あんた途中を省き過ぎ。
「とらんぷをさいしょにしたのはせいじじゃなかったんです。かあちゃんとせいじ。……とうちゃんがさいしょで、つぎもちがったの」
 親と最初にトランプやると怒られるんだ。ふーん。あんた墓に入っても太れないぜ。
「? うん、ふとらないのはいいんです」
 そ。四を二枚。
「じゃ、五」
 ちょっとだけっつって勝ち続けたのか。貰いモンはさっさと捨てる、七。
「はい。けっきょく、きちょうなひばんの日いちにちじゅうでした。八」
 あんたの亭主勝てたのか。J。
「とらんぷをしたのは、せいじあれがはじめてだというんです。むー。Q」
 典型的ガリ勉型秀才だかんな。パス。
「そんなことはないですよ、うんどうとか、かっこういいです。四」
 杉慶に散々千切られたのは知っているけどー。五。
「まんがもですね、いつだったかな、いちどだけとかいっていました。九」
 文脈無茶苦茶だけどー。言いたいことは分かる、十。

p

「じょーかー」
 ……ヤーな予感。
「ないですか。うん、この瞬間がいいな。四です」
 ……またか。
「かったのだーーーー」
 ……負けやした。
「ふふふふふ」
 にたにた笑いしないでくれる? さってメシでもこさえて来よっかな。
「む。にげるのですねふふふ」
 今何時だと思ってんの。
「ぬ。……。おお。五じではないですか。ごはんごはん。すすっとごはん」
 サッパ準備していないからー。ランチで。
「らんちとはおひるのことではないですか」
 おっ、大カンドー。そうだけど。あんた七時に寝るんだろ。ギリギリだぜ。
「そおいえば。むむ。おふろをかんがえますと……」
 考えるノーミソあったんだ。風呂入ってな。ほんじゃ。
「む。にげたなーー」

q

 まさかあの哲也に連戦連勝負け無しなんて結果を収める奴がこの世にいるとは思えなかったんで、カップを無心で磨いて気まぐれな客を待っていた。

r

「……」
 ハイハイ負けやしたよヘイヘイ。やるじゃん。
「……」←当然だ。
 あんたも同じ結果喰らったみたいじゃん?
「……」←お前もだろうが。
 トーゼン逆襲かまさないとねー。いいぜ延長ハイお待ちだ。
「……」
 電話はどうした? あ、ジャック外してた。
「×××! ×××!!」
 ケータイ? あ、廊下の隅に転がしてた。
「×××! ×××!!」
 時間迫ってっからー。ほんじゃ。
「×××! ×××!!」←風呂上がりを見るな覗くな聴いているのか貴様!!

s

「はい、なんでしょう」
 メシここ置いとくからー。勝手に取って食べたら。
「どうしてですか」
 もう時間だから。ケータイまた転がってたぜ。ほんじゃ。

t

「あ、おでんわおでんわ。ころがしてはいけませんようめこさん。はい、なりた、です。せいじ、あいしてる。いまごはんたべてます。パン、かな」
 ……。
「ゆーれー? ううん、きょうはみなかった。とんでいったとおもいます」
 ……。
「うん、もうすぐ七じです。ちゃんとおねむします。……うん、うん。わかりました、あしたはいちにちじゅうぐーたらしてい……するの」
 ……。
「……あふ」

u

「……」
 寝てるっつーの。
「……」
 飯? 出しゃいいんだろ八時十二時六時、外していないぜ。
「……」
 ザマーミロ? そ。
「……」←いいぞ梅子。この男が言い返せんとはな。やれやれー。

v

「はい、なりた、です。せいじ、あいしてる。きのうはごはんとはみがきとおふろいがい、ちゃんとぐーたらおねむしていました!」
 ……。
「うん! えらいうめこ!」
 ……。
「ぽーかーはするな、ですか。だいひんみんいがいしちゃいけない。ごはんはちゃんと。おひるねもちゃんと。わかったの」
 ……。
「うん。あいしてるせいじ。ちゅう」

w

「おまちなさいとなりのひと」
 ああ、いたっけ。
「ごごはおひるねというだいじがありますが、ごぜんちゅうならおあいてうけましょう。ふっふん」
 他の宿じゃこんな客絶対受けねえな。カッワイソー。
「さあかかってきなさい」
 歯磨きは。
「おお。だいじなことを」
 膳下げて来るから磨いていれば。

「きょくげいとかできますか」
 サーカスとか? サスガにそれはない。
「できそうですよ。じゃんけん」
 ぽん。パーで勝つってか。あーああ、ベルの音。
「あれ、おでんわ……ふんっ」
 ヒマなら取りに来いっつーの。
「はい、なりた、です。せいじ、あいしてる」
 三、四。
「うん、いま、だいひんみんをしているところです。はい、うん。じゅういちじまでですね。うん。ちゃんとおぜんをたべます。おねむ、おねむ」
 十、J。
「はい、じゅういちじまできりません。このまま」
 意識分散? 出来んのそんなキヨーな真似。
「え。うん。うん、おしごといそしんでください」
 切ってやんの。……振動してやんの。ヘイヘイ全停止中は電話にゃすぐ出ろ全部出ろな。十一時まで切るなこのまま? ヒマが過ぎるぜ。ヘイヘイ切りやせんよ。
「えっと、なんだっけ。えー……っと……」
 頑張れ? 応援するんだったらそっちへ掛けたら。あんた今ナニやってんの?
「うーん。……ぱす」
 そ。ほんじゃ四、五。
「むー……そうきたか……」
 この手の揺さぶりにゃ弱そうだな。
(ボンクラ亭主:なぜバレた)
「ぱす」
 ふーん。四、五。
「ぱす」
 ……ふーん。六。
「J」
 ……Q。
「二」
 パス。
(ボンクラ亭主:お前の持っているカードを全部報告しろ監視カメラはどうした!!)
 そういう拷問器具の趣味はないね。序盤戦で二、か。
(ボンクラ亭主:このあいだきっちり納品しただろうが! さては湘南の喫茶店に取っ付けやがったな!!)
「五・五」
 やっぱそう来たか。ダブルのが多いな。A・A。バラしたらどうなるか分かっているよなー。
「ぱす」
 崩したくなくて手持ちカードを残すパターン、ってか。七。
(ボンクラ亭主:梅子梅子梅子!!)
「八」
 ……九。

x

 ナカナカな心理戦が展開されていたようなんで、出来れば俺だってギャラリーしたかったがんなことやりゃあ蜂の巣だ。しょうがねえから客を待った。

「残念でした、残りはジョーカーなのです」
 ……ズッリー……あんたもバラケだったのかよ……。
「これ以上二枚組で来られたらどうしようかと思っていました」
 あーああ、まともな文脈でやんの。
(ボンクラ亭主:いいぞ梅子さすがだ梅子もっとやれ!!)
「さあ芸をお観せなさい!」
 正座して腰に片手やってひとを指差すの止めてくんない?

y

「……」←ふっふん。
 ハイハイ負けましたよ全敗連敗大敗。
「……」←ザマーミロ。
 あーああ。連休だもんなー。向こうはくんずほぐれつヤりまくり、こっちはコテンパン。落ち込んで来たなー。
「……」←お前ごときが梅子に勝てると思っているのか。
 俺がポーカーで巻き上げるなんてズルだしなー。
「……」
 午後は昼寝だろ。落ち込んでっからさ、俺も離れで昼寝ー。
「……」←いいぞ梅子。やれやれー。

 ここまで来りゃあ是非直でギャラリーしてえところだが蜂の巣だ。っつったって警備のあんちゃん、実はねえちゃんもいるらしいが俺は知らねえ、すら観てえと思ったそうだ。なにせそいつらは哲也にアゴでコキ遣われているんだからな。

z

「……」
 膳を食いたいっつってたからー。和でいいよな。
「……」
 ああ、分かっているぜ。俺が洋も中もこさえちまったらあんたごときのメシなんか味しなくなるだろうからな。
「……」
 ああ、違った。あんたらごとき。ああ、プラスあんたがコキ遣える連中ごとき。
「……」
 引き取った後一か月くらいはー。和食ナシだろ? あんたらプラス。
「……」
 世間は今んトコ、自称高級官僚が聖域預けられる宿、だろうけど。本性出したら俺の絶品占領するヤツとかってー。あんたに筋違いが行くぜ。喰らったコトないよなー。
「……」
 メンドイけどね。惚れて貰うんだー、も・っ・と。
(ボンクラ亭主、電話ガッチャン)