横島茂

 さぞいろいろな者達が斉藤さんを弄んだだろう。騙して、言い包めて、吐かせて、黙って、泣かせて傷つけた。
 そうされることのなかった唯一の人物を、彼女は高校へ入って手放した。その途端彼女はその身では支え切れない強欲に巻き込まれた。自業自得だ。
 忠告は……してやったよ斉志。もっとも違う人物にだが……。お前に言った方がよかったか? いいや、そんな必要はあるまい。代わりと言ってはなんだが、忠告相手はちゃァんとお似合いの、似た者同士の人物を選んでやった。
 そう、いずれにしたって彼女は弄ばれるだけの人生さ。
 独りでいればそんなことは有り得なかったのに。

 真木は僕の弟だ。記録も記憶もされないが、間違いなく僕の弟だ。親同士が内通、五日で切れた。籍など関係ない。それでも間違い無く僕達は兄弟だ。
 なにせ似ていたから──繋がっていた、魂が確実に。同じだったんだよ、それには気付いていただろうけど。

 残す心はある。
 残さない心も、ある。

田上真木

 斉藤さんのことを君が行って君が解決するのか。困った事があったらいつまでも、自分を助けてくれる誰かを待てばいいのか。君は彼女をそんな人にさせたいか。させ続けたいか。
 君はまったく彼女を信じていない。だから僕がここへ来た。
 君はその程度だ。彼女はそうじゃない。君はいつも彼女を自分勝手な言葉で束縛し、行動を阻害する。今はもう、そうではなくなったから彼女は自由に行動出来ている。あんな危ない橋を渡ってでも、彼女の意志で。彼女だけの力で。
 君は邪魔をするだけの人間だ。彼女を好きなら信じればいい。

西川遼太郎

 惚れたんだろ。
 俺と違ってひとめで。