年越し忘年会 坂崎旅館

 今日は明美曰く、年越し大パーティーの日、だそうです。
 前に、合同後に打ち上げと称して隣の人の旅館の一階をぶち抜いて宴会をしたことがあったけど。そんな感じで、また騒ごうという発案が明美から出まして、わたしもお呼ばれされての今日、ここ坂崎旅館一階ぶち抜きにいる、というわけです。
 すっっっごーーーーい大人数で、びーーーっくり。
 でも、あんまり驚いている時間はなかった。なぜかというと。
 ええ、そうですとも……わたしはほぼ最初から、成田くんにしなだれかかっていたからでありまして……。
 みんな。もうこっちを見ません。無視状態。勝手にノロけていろ、といわんばかりにこちらのことは我関せず、めいめいが大いに盛り上がっています。わー、いいなー、参加したいなー。
 ……なーんて言ったらどうなるか、分かっているので言うのは止めた。
 代りにわたしは、背中に限りなく近いところ……おしりとか……を、撫で回されているのです……。
 この場には。真っ赤な茹でダコとそれを抱き締めるかっこいい男のひとと。騒いでいる大勢、という図式が出来上がっておりまして……。
 あのー。誰か構って下さーい。これは異常事態なんですよー、誰かどうにかして下さーーーい……。

 わたしが茹で蛸の挙げ句ダウンした後、おのおのの学校では部活が終了したあたりの時間に、成田くんは相馬くんへお電話したという。
「というわけだ相馬。楽しいぞ。来るか?」
「行きたいのはヤマヤマだが出場停止六か月のような気がするんでな」
「安心しろ相馬、気がするじゃなく、確定だ」
「やっぱ? ま、よろしくやってくれ。勧誘の際は酒抜きで頼む」
「是非そうしよう。その時は安心しろ相馬、お前を除け者にはせん」
「待ってました大将、そう来ると思ったよ。で? 言っておくが挨拶は勘弁だぜ」
「そうか。俺は挨拶はいつも丁寧に、を心掛けているんだが」
「それはぃよっっく分かったからパーティーの話をしてくれねえかな大将……」
 だそうです。わたしは都合のいい人体構造で寝コケていたので、こんな会話があったことなどつゆ知らず、成田くんに体を預けて眠っていた。