五月十四日 月曜日 成田くん日記。

 俺はバカだ。
 世間でどう言われていようと問答無用でただのバカ。それが俺。高校生になってようやっとそれが分かった。

 梅子。やっと再会出来たのに。今でも入学式のあった昼、自分の行動を理解出来ない。それであんな奴に付け込まれた。挙げ句梅子は処分の対象。たかが授業を二つさぼっただけなのに、元から教師どもに睨まれていた上入学式当日という時期が悪かった。いや、俺が悪い。

 入学二日目。梅子は朝教室にいなかった。ギリギリまで待ったが……それで一限目おわったすぐのあの騒動。梅子につらい思いをさせてしまった。俺が悪い。また奴に付け込まれる。今度は停学か、はたまた退学か。俺はなにも出来なかった。あの女の案に救われた。
 梅子の手前声に出しては言えないが、佳い女だ。遼は俺に遠慮して、表敬訪問した時はわざと言わなかっただけだ。遼が言えば同意見の俺もその場で声を揃えなくてはならなかったから。遼は俺のいないところでなら、盛大に言ってくれるだろう。俺の分も。佳い女は俺達との距離を詰め過ぎたと思ったのか、わざと突き放すようなことを言って来た。梅子のいい親友だ。
 豪快に惚れ直した、梅子。自分が迷惑を掛けられたやつと友達になっていた。校長室で、遼と連中その他の後に話し掛けた女。友達か、と。そうだ、梅子の頭が悪くても差別するなと言っていた。誰がするか。俺と同じ、両親のいない境遇。確かに思い込みは激しいが、梅子のいい親友だ。
 なぜ梅子は中学三年までたった一人だったのか分からない。もう二度とそんな思いをさせはしない。

 三日目。やっとまともに逢えたのに、結果は梅子の部活動の邪魔をしただけ。遼が怒るのは当然だ、俺が悪い。

 四日目。朝梅子はまたも教室にギリギリまで来ていなくて、遅刻かと思って心配で、隣のやつに訊いてみた。羨ましい男に。あの件で最初に動いた聡い男に。答えは“さぼりの罰で生徒指導室を朝早くから掃除”。俺が悪い。
 その日初めてまともに話せた。きっちり全部謝った。電話を掛けてくれて、電話番号を教えて貰えた。迷惑掛け続けた俺の名を梅子が呼んでくれた。人生最良の日が増える。だが電話中、思わずカッとなって地が出た。梅子にだけは優しくしようと思っていたのに。

 五日目。またヘマをした。一限目のおわり、とにかく逢いたくて、教室を出て行ったら渡り廊下の向こうに梅子がいた。なのに俺とその隣へ視線を移した途端逃げ出した。そこには下らぬ噂のどうでもいいやつがいた。誤解、された。逃げられ避けられうつむかれ、初めて告って初めてキスして初めて振られた。いやだ嫌いだ関わるな、電話をするなで友達扱い、しまいにゃ一週間もお預け喰らった。人生最悪の日だ。たった少ししか唇を弄れなくて、躯中疼いて、喉も心も全て乾いた。あんな地獄は二度と味わいたくない。暗黒の一週間だった。

 やっと自重期間が解けた、あとは梅子の部活がおわるのを待つだけだ。そう思った土曜の放課後。これも梅子の為だと厭々出ていた運営会議。そこへ梅子が来た。真っ白になった。けれど俺に逢いに来てくれたわけじゃなかった。嬉しいのにがっくりしてしまって、そうしたらまた友達と。……なにも言えなかった。
 なのに梅子俺に電話を掛けて来てくれて……梅子、電話してもいいって言ってくれた。人生最良の日が増える。

 浮かれて舞い上がって、次の日梅子の家へ行ったら当人がいなかった。いたのはおそらく俺の人生最大の敵。いや、……将来の義父、義母。当然ゴマをする。朴訥な、梅子に似て照れ屋の、そして間違いなく難敵で強敵なおやじさん。なにせ梅子はひとり娘。絶対はじめてに決まっている、男……友達などと死んでも言わん、が訪れたからには警戒して当然なのに、穏やかに迎え入れてくれた。“斉君”と。
“そうか、梅子の友達か”
 違います。
“梅子な、高校になったら突然いっぱい友達出来てなあ。まあ電話が増える増える、いいことなんだけどなあ”
 なら携帯電話を。是非。私なら安く上げられます。おふくろさんは俺を梅子の彼氏かと……浮かれた。おふくろさんも、やっぱり携帯電話は買って上げようと言っていた。かなり掛かって来ているようだ。友達が増えるのはいい。だが……ひょっとして男もいるのか?
 梅子は夕方、日暮れ前に帰って来た。俺を見て驚いていた。問答無用で携帯電話取り扱い店へ。梅子はとにかく安い携帯を、と言った。この改造携帯でも構わなかったが、間違って落として誰かに拾われたらとっ捕まる。厭々妥協。梅子は派手な色を避け、シンプルなホワイトシルバーの携帯を選んだ。シルクに似た色。梅子に合っている。
 当然俺の番号を一番最初に。他など登録したくもなかったが、敵状調査にと友達の番号を打ってやったら……まあ出て来るわ出て来るわ。しかもソラだった。なんでこれで成績が悪いんだ? いやそんなものはどうでもいい、やはり男がいた。しかも複数。もしもあの時、運転していたのがおやじさん、隣にいたのが梅子でなかったらその場で惨劇が起きていた。よくあの携帯を握り潰さなかったものだ。それまでの自重生活が実ってなんとか耐えた。当然やつらはブラックリストの一番上へ直行だ。
 このまま俺の家へ連れ帰って縛り上げたかったがおやじさんの手前、厭々我慢。だが来週こそは、そう思って梅子に訊くと今日出掛けたから今度の週末は休みたいと言う。俺のせいで散々だった梅子の高校生活。そう言われれば否やはない。間違ってもどこかへ行って浮気しなければ。
 浮気……その日なにをしていたのか訊きたくて、梅子が帰ったあたりを見計らって電話で訊きまくった。そうしたら、ブラックリスト最上位のやつらと会って話してメシを食ったと言う。
 ……それが電話での会話でなければただの惨劇では済まなかった。よくその場でキレなかったものだ。掛けたのが改造ではなく黒電話だったら粉砕していた。梅子が電話口で突如沈黙した俺の名を心配そうに呼び続けてくれなければ三番駅裏から順に折檻行脚だった。電話はそいつらから掛かって来ることは多い、けど人数が多いしみんな友達同士みたいだし、変な噂が立つと相手に悪いからあんまり男子には掛けていない。そう梅子が言わなければ連中の命など有りはしない。あんまり、ではなく絶対に掛けるな、俺以外には。その場には女も複数いたというがそんなものはどうでもいい。またもカっとなって地が出る。それで早々に電話を切られた。
 俺が男の番号を厭々登録していたら、何故か俺を真っ赤になって見ていて……いい雰囲気だったのに。

 模試の結果が出た月曜。俺のせいで朝教室へ入るのが遅い梅子。一限目のおわり、たまらなくてFへ行ったら、いた。下らぬ噂の。またバッティングなんざヘマはしたくない。放課後まで待った。遼に無理を言って部室で待つと梅子が来た。俺の成績を知った梅子は静かだった。いや、静かすぎた。……避けられた。友達に会うから部活を休むという。遼は処分を考慮して、梅子に、ワビの代わりに理由を後からでもきちんと言えば部を辞めさせないようにしてくれた。確かに理由が分かればそれでいい、間違ってもどこかへ行って浮気しなければ。友達? ブラックリストか。やつらは俺の知り合いがほとんどだったがそんなものはどうでもいい、もはや命は無い、そう思って梅子について行った。帰る途中、弓道、格好いいねなんて言うから入ってやるかと思ってそっちを見たらまたヘマをした。下らぬ噂のやつがいた。それでまた誤解された。俺が惚れたのは後にも先にも梅子だけだ。これは必ず、少なくとも管内高校生全員に宣言して誤解を解かなくてはならない。合同はいい機会だ、佳い女には感謝を。
 だが梅子は勉強の邪魔をしたくないからもう逢わないという。せっかく買ったあの携帯で、梅子は俺に掛けてはくれないと直感した。俺の人生ないも同じ。絶望した。
 遼はまた預けろという。厭々我慢した。確かに遼に預けて悪いことはなかった。彼氏はいないという貴重な情報を得られていたから。あの時それで信じていればよかったのに。あの時言っていればよかったのに。厭々携帯に番号を登録した時も無かったのに。
 なんで、俺……。

 待ったかいがあった。遼に預けて正解だった。梅子が俺の家まで来てくれる。人生最良の日。
 だが待てど暮らせど梅子が来ない。まさか自転車であんな道をあんな躯で来るなんて。いくら遼でも分かるわけがない。
 もう待って待って待って……なんでこんな田舎にあんなに道がある。探しても探しても見つからない。梅子どこかで事故に遭っているかも、迷っているかも、泣いているかも……あんなに心配した日はない。誰かに……攫われでも、したら?
 そう考えた時既に理性は無かった。
 もう偶然だった。ただ告ったときろくに貪れなかった唇とか、目に焼き付いて離れない胸とか、合わせてもくれなかった瞳とか、俺の名を呼んでくれて、好きだと言っても避けられなくて、とにかく運良く上半身だけ先に攻めて、なにせこんなことはやったことがなくて、そうだ本命とやっと気付いてスカート捲ったら。
 なんてこと。
 いくら俺でも理性が戻った。なんてバカなことをした。けどまさか、やる前に訊くか普通生理かどうかなんて。
 とにかく運良く間一髪間に合って、なけなしの理性で時間を知る。厭々帰した。勿論、次の逢瀬で全部貰う。

 その夜電話が来た。梅子の、おそらく高校生活初めての友達から。親代わりの他人に、本当に捨てられたと。そんな話を無視出来るわけがない。借りを作ろうがなんだろうが構わなかった。眼鏡女へ預けた。眼鏡女はなかなか頭の回るやつで、冷静に、殴り込み事件は本来梅子が、ではないこと、単に運よく事が運んだだけということ、あの日の梅子の行動が後々どう作用するかも看破していた。眼鏡女は佳い女に嫉妬している。あんな案はその場に自分がいたとしても考え付かなかったと。だから佳い女に対して態度が突っ慳貪、俺と同じ。次の日午前中学校を休んで眼鏡女と処理して回った。この女とは協力すれば話が早い。眼鏡女は梅子に心配させたくないからと関係者に口止めをし、自分は表に立たず佳い女へ連絡係を頼んだ。いい判断だ。多少つっかかっては来るものの、俺程プライドが高いわけじゃない。眼鏡女もまあ悪くない。

 四月二十九日。人生最高の日。一生大切にする。早く生でしたいが全部貰った。梅子、もう俺を拒まなくて、聞けば世間はそこへ辿り着くまでが大変というが俺だって大変なんてもんじゃなかったんだ、俺を好きだと。そう言ってくれた。最初から好きだと。あんなに迷惑掛けまくったのに。舞い上がったなんてもんじゃない。梅子は俺の、俺は梅子の。やわらかくて熱い躯、こころ、全部。やっと手に入れた。死んでも離さん。
 なんで婚姻届けが紙なんだ? どうして十五歳で結婚出来ない。ガキの俺では今は無理、最重要書類を耐火金庫へ仕舞った。これと梅子は誰にも渡さん。万年筆は受け取って貰えなかったが、腕時計はしてもらえた。指輪、どれがいいかな。
 その日も厭々帰した。しかも駅止まり。我ながら素晴らしい忍耐力。だがそれも結納まで、そう思って梅子のにおいがするパジャマで眠った。……温かい。

 翌日、浮かれてヤりまくって言う時間がなかった重要事項を説明。本当は処女を貰ったその日に言うつもりだった。普通はじめて同士はやらんだろ四回も。まあいい。我ながら躯がとけた。梅子に惚けた。感度よ過ぎだ、あんなに濡れるとは……絶対先に下を剥ぐ。念には念を、下着を揃えて置こう。本当に相性がいい。イくタイミングは必ず一緒、聞けば世間はんなもん有り得んというが俺と梅子の辞書にはそれしか有り得ん。ぴくぴく震えて薄くて奥と乳首が真っピンク、赤ん坊みたいにいいにおいで、白くて柔らかでなめらかで、中、あちィ。次はどの体位がいいかな……咥えてもらうとか……胸でかいからアレやれる……。
 ともかく契約は絶対に履行してもらう。
 だが梅子の反論には文句が言えなかった。厭になるほど振り回された噂。俺だけならどうでもいいが梅子までなど絶対駄目だ。誰にも梅子の背後には立たせん。梅子のクラス、席順がいい。隣のやつは羨まし過ぎるが前から相手がいたようだし聡いやつだ。ただ弁当まで駄目と言われるとは思わなかった。俺ってそんなに料理ヘタかな。精進しよう。いずれ合同で全部ケリを付けてやる。

 五月に入って二日は厭々我慢した。こうなったら高校生なぞやらんでいいと思ったが、梅子は頑張って入学した。道連れには出来ん。それに二日間我慢すれば、四日逢い続けられる。
 そう思っていたのに……。

 俺の誕生日でなくてよかった。ただそれだけだった。俺の人生、あれで終わった。俺などこの世にいる必要すら無い。真っ赤にしてしまった。鮮血、だった。いくら俺がろくでもない人生を送って来たとしても、よりにもよって惚れた梅子をあんな目に。俺が死ねばよかったんだ。梅子の悲鳴……一生耳に残るだろう。
 なのに……。

 必ず幸せにする。俺は一生梅子のだ。俺、一生幸せになれる。
 梅子……。

 浮かれた俺、つい思わず惚気電話をした俺に、相棒が釘を刺して来た。
“お前の都合ばっか押し付けるなと言った筈だぞ斉。お前のの躯、今どういう状態か分かっているのか、なにが最高記録だ、体力あり余っているお前とは違うんだ。これも前に言ったぞ、勉強に集中させろ。ガキみてェな我が儘言うなこの鬼畜野郎。お前のがお前に罰を与えないなら俺が下してやる。
 自重しろ。期間は合同がおわるまで。まさか出来ないなんて言うんじゃねェだろうなこの犯罪者野郎”
 だからごめん、梅子。そればっかりは俺、どうしようもないんだ。

五月十四日 月曜日 放課後 部室

 ここはマイコン部(仮称)の筈。
 確かに、わたしはこの部の正式名称なんて知らない。仮な部員だし。
 けど、けど。
 どーしてわたしはさっきから、入部時期がたった数日違うだけの同級生にしばき倒されなきゃいけないのよーーーー!!!
「う~~~~~~め~~~~~~~のォ、字ぃいいいいい!! テメェっっっっってやつァなんっっっっっっっっっでそんなにアホなんだァあああ!!!!!???」
 悪かったな西川! そうでなきゃ最初っから、栄光の三百番台連合に名なんぞ列ねていないってば!!
「そりゃこの公式だろ!!!?? 答え書いてあるようなもんじゃねェか! なんでそれ見逃すんだ!? 大体テメェ、電話番号速攻で覚えたろうが一瞬で! 単語の一万や二万今直ぐ詰めろ脳味噌に! 皺刻め! がぁあああ~~~、誤字だ脱字だなにやってんだ!! そんなカタカナこの世にゃねェ、テメェで勝手に専門用語創造するな! 出題に振り仮名なんざ振っているわきゃねェだろ! 読め、書けこの程度の漢字!! そんな綴りはこの世にねェ!! 空欄で解答すな!! 気合いだ魂だ根性で書け! 終わったら全部忘れていい、とにかく詰め込め!!!」
 どうして。
 どうしてこんな事態になってしまったのかというと、わたしがもはやネタのように披露している三百番台の件が悪かったのです。
 今日、部室へ来たら西川は、いつものごとくマシンに向かっていなかった。どうもわたしを待っていたようで、小声で開口一番こう言った。
「教科書とノート。筆記用具出せ」
「へ?」
「屁じゃねえ。聞いたぞテメェ。なにが三百番台連合だ。どこの世の中にそれで笑いを取るアホがいる。運営のやつらにな、言われいていたぞ斉。タクのオンナにメーワク掛けて、挙げ句成績を落とさせてどうすんだゴラ、とな」
「なっっっっっっっっっっ!!!」
 な、なななななな!!!!
「テメェ。まさかこの俺様が、テメェと斉の野郎の仲を知らない、とでも思っているのか? 花束チクってやったろだうが」
 うっ。
「俺も男だ、経緯内状惚気話なんざ訊きたかねェ。そいつァ言わんでいい。テメェがここに入部するとき遅刻したのは斉の野郎が悪いんだろ。野郎はテメェに散々迷惑掛け千切った。間違い無く斉はクソ馬鹿野郎の大馬鹿野郎だ」
「そ、そんなことない。絶対ない」
「だがな、テメェの成績は悪い。悪過ぎる」
 ぅ。
「まさかテメェ、合同でテメェのノーミソを有耶無耶にしようなんざ思っちゃいまいな」
 ぅっ。
「俺も言われたぜ運営のやつらに。あーなーたーがついて? いながら? まさか次の中間試験とやら、成績落ちるわけ……ないわよね? とな」
 そ、その言い方はかかか和子。
「フツー中間なんざ決められた通り一週間の部活停止でテキトーに勉強すりゃーテキトーな成績を取れるもんだが……テメェは論外だ」
 その通りです、にしかわさま……。
「斉の野郎、自分は余裕だろーがテメェに教えるなんざ理性がどーのと言ってるからな、実に仕方なく俺様が教えてやる。心して敬え」
 というわけで。
 わたしはこの西川大師匠様を崇めまくって……。
 さっきから、こうして、しばかれているのです……。

 どーしてわたしはこういう状況にばっかりいるのよーーーーー……。
 ……ええ、なにもかもアホなわたしが悪いんです……。
「ににににしかわ大師匠様……」
「無駄口叩くなさっさと解け」
「ああああのあのあの、わたしと成田くんがって話、一体どこから……どこまで……どんなふうにばれているのでしょう……」
「運営のやつらから運営のやつらまで。単なる彼氏と彼女。口は固ェ、他はテメェがペーラペラ喋らにゃこの世のだーーーれも知らねェ」
 ……。
 ぺーらぺら……。
 昨日、さーーーーんざんゲロさせられちゃったんですけど……。

五月十四日 月曜日 夜 梅子自宅

 電話の向こう、成田くんの声はうんとうんと小さかった。
「ごめん。ごめん。……梅子、ごめん。俺……土曜、浮かれて……。謹慎する。梅子躯つらいだろ……? 俺、厭々我慢するから、今週はいいから中間試験に集中して」
 中間試験は土日をはさんだ五月二十四日から二十九日までです。
「それがおわったらもう離さないから、絶対帰さないから、梅子、こんなこと言う俺嫌い? 来なくていいなんて言う俺嫌い?」
 へ、返事のしようが……。
「俺、梅子と一緒に勉強したいけど、二人っきりでなんて理性持たない、服脱がせてそれからのことしか考えられない、それで梅子が悪く言われるなんて耐えられない」
 えっと……全部わたしがバカなのが悪いんです……。
「だから来週も逢えないけど……こんなにお預け喰らうなんて俺、俺……梅子、合同おわった日曜は帰さないから、もう離さないから、朝梅子の家まで迎えに行くから、絶対俺の家から出さないから」
 あの……日暮れ前、というのはどこへ……。
「だから勝手にどこかへ行って浮気しないで、俺のこと嫌いにならないで」
 試験の話からなにかが逸脱してます成田くん。