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 二日後にお帰りの旦那さまから、空子の入院経過を聞かされた。
「聞いたよ空子さん。おっぱいはだけて眠っていたって、乳首丸出し」
 そう。
「自慢の嫁さんです、キスマークだらけだったろうって返事をしといたよ」
 嬉しいわ。
「俺は空子さんのマンコに開眼させられたから、犯りまくるのは止めない」
 じゃあ入院ね。どうすればいいのかしら。何の自信もなくってよ。
「パジャマを工夫した。ほら、丸襟の、ワンピースタイプにしておいた。どうせ尻を出すだろうけど」
 そうね。きっとそうよ。
「痕は念入りにつけておく。誰が見ても俺に犯られまくりと分かるように」
 分からせてどうするのかしら。
「今度は絶対世話になるから、嫌がらないように。溲瓶」
 そう。

 歩けるようになったから、すたすたすたすたエレベーターに向かった。
「その分じゃたっぷり犯れるな。明日の朝はここに逆戻りだ」
「勇ちゃん。お買い物は? 空子お料理したいの。食べさせあげたいわ」
 デパートもどきとはどこかしら。やっぱり下のボタンを押せばいいの?
「ああ、女体盛り」
 空子はコドモじゃないのよ。耳年増っぽいのよ。その言葉を知っているわよ。させられそうだけどさせてなるものですか。
「デパートもどきはどこ? お買い物よ勇ちゃん、おさいふないからおごってちょうだい」
 おごらせることにした。とってもお金が掛かるけど、開き直ったわ。うんと使ってやるんだから。みんな払ってもらうんだから。
「何でも全部一生おごるよ」
 まあ御大尽ね。頼もしいわ。
「今晩は女体盛りから百八手の残り全部だ。寝てる暇があると想うなよ」
 そんな暇なんかいつもないわ。何をしてるかもう分かっていないもの、セックスの時。
「勇ちゃんはいつ寝ているの?」
 あんなすごいことをして、どうして空子だけがこうなるの。
「トレーニングの後昼寝をしている。家に帰ったら空子を襲うことしか頭にない」
 そう。

 デパートもどきへ行った。台所は何もないから、全部一式お揃いので買いましょう。御大尽な旦那さまがいることだし。ちょっと前までは決して出来なかった、究極のぜいたくをしてみせるわ!
「台所用品を買い漁るのが究極なのか?」
 そういう、みもふたもないことを言わなくてもいいんじゃなくって。
 勇ちゃんから一枚のカードをもらった。クレジットでもキャッシュでもない、このマンション専用のもの。お買い物するときはこれでしなさいって。現金はあぶないし、許可しない人の侵入に備えて、この専用カードでしかお買い物出来ないそうよ。しっかりしているのね。
 空子の顔写真がついていた。いつ撮ったのかしらこの写真。覚えがなくってよ。なにか目がトロンとしている。油断満々っぽい。なんだかこれ、膝がゆるんでいる感じだわ。
「さっぱり全然何も分からない」
 勇ちゃんと一緒にお買い物。わくわくして回っているのだけれど、隣を歩く勇ちゃんはとってもつまらなさそうだった。お買い物は苦手のようね。
「まだ終わらないの、空子さん」
 あれもこれもとフロアを周り、候補を絞っている段階で、すでに勇ちゃんは飽きていた。まだと言われたけれど、まだ一品も購入していない。だってこういう時でないとお揃いのを買えないのよ。あっちにもこっちにもいいのがあるし、ちゃんと見極めなくっちゃ。
 買い物はまだまだ掛かると見た勇ちゃんは、携帯電話を取り出してしてこう言った。
「最上階の高尾だ。台所用品まるごと一式のカタログありったけ届けろ、大至急」
 なにやら、聞き捨てならない会話だわ。どういう意味かしら。
 意味を聞こうとすると、その前に横抱きのお姫さま抱っこをされた。そしてすぐにフロアを出てしまった。
「ゆ、勇ちゃん、まだ」
 何も、一品も買っていないのに。
「カタログを取り寄せるから後で選んで。もう我慢出来ない、犯す」
 デパートから人目はあった。じろじろは見られなくても、“あれが高尾選手とへんなのだ”みたいに見られていたとは分かっていた。なのに専用のエレベーターまでこんな体勢で運ばれた。エレベーターが来るのを待つ間、熱くて深いキスをされた。強く抱き締められてすぐ濡れた。勃っているのがよく分かった。
 エレベーターの中で犯された。バックで、スカートをたくし上げられ後ろから。濡れそぼったマンコに前戯なし。ただ悦がった。
 夕食を体の上に盛られた。食べられた。汁物はおマンコに。愛液と一緒にすすられた。挿れられたゆびに、足らないと叫んだ。脚を勇児の腰に絡めておマンコを締めることを教わった。口の奥と子宮が精液でいっぱいになった。

 翌朝、太陽が昇った頃、空子は勇児の上に逆に乗って、脚をみだらにM字に開けて、空子のマンコに挿れて犯してめちゃくちゃにしてとおねだりして、ゆびで想いっきりおマンコを開けて、舌を挿れてもらってから勇児のおチンポにむしゃぶりついた。腰はずっと動いていた。なにもかも無意識だった。わざわざ考えなくっても、ただ犯されたい一心。それ以外ない。
「空子……エロいよ空子……ずっとマンコ濡らしてろ」
 そうするわ、それ以外もう出来ない……
「もうしばらくしたら仕事が始まる、こんなふうには出来ない……それまで毎晩こうだ」
「いいわ……」
 お仕事はいいの。毎晩? いいわ。もう、他はいやよ……
 勇ちゃんに求められる。それが全てだった。

 朝ご飯をいつもの格好で。上は勇ちゃんのパジャマを着て、はだけたおっぱいのしたのところにボタンを一つだけ留めている。下はパンティをふともものところで止めて、本革シートのソファにナマで座る。隠したりしないおマンコはびちょびちょ、腰はもじもじ。それで勇ちゃんが朝ご飯を持って来てくれるのを待つ。
「風邪を引かれたら困るな」
 隣に勇ちゃんが座ってくれる。空子はもう、えっちしてって目で見上げることしか出来ない。おくちを勇ちゃんのおチンポのサイズに開けて、腰がみだらに動いて止まらない。
「飯だよ空子さん。ほら、食べる」
「はぁい……」
 食べることにした。勇児が欲し過ぎて、お食事を味わうのは二の次だった。

 勇ちゃんが出掛ける前。いつものクンニをしてもらって、嘗めてもらう。ゆびまで挿れてもらったら、もうそれで火がついちゃって、もっと太いのを挿れられないと体がおさまらない。
「お預け」
「いやあああああ!!!」
 こんな、こんなのいや!!
 涙をぼろぼろこぼしておねだりするのに、勇児はこう言うの。
「だめだ空子。時間がない」
「いや!! いやいや、犯してくれないと空子眠らないから!!」
「そんなこと言うもんじゃないだろ……?」
 分かっているけど、こんなのじゃほんとにほんとに眠れない。
 うんとうんとおねだりして、いやらしい格好をして、卑猥な言葉を言い続けた。勇児は、うんと濃いのをしてくれた。

 毎日、空子はいつもどこかを丸出しにして眠った。勇児を想うと濡れた。パンティは何枚もだめになった。
 セックスするたび足りなくなった。勇児は、空子のゆびもつかった。空子のゆびも一緒にマンコに挿れて一緒に掻き回した。とてもとても興奮した。でもオナニーは教わらなかった。教わらなければ出来ないから、一人ではしなかった。体をもてあまして眠れないことはなかった。いつも疲労で意識を失った。
 空子の食欲と性欲がどちらも増大して、ものすごくサカってしまっても、勇児が空子にのまれることはなかった。空子がいやらしくなるたび勇児はもっと開眼するんだそう。二人とも、どんどんどんどんエスカレートしていった。食事中にもゆびがマンコに挿っていて、おチンポに手を這わせていた。お互い愛液をのみあわさないと一日が始まらなかった。そんな毎日を過ごしていたある日、空子は突然生理になった。
 でも、突然じゃないのよね。来るのを忘れていたの。

 月のものが来たのが入院先でよかった。体からなにかがおりてくる感覚が、奥までぐちゅぐちゅに満たされた勇ちゃんの精液がおりるのとちょっと違った。ゆびですくったら血だった。ナースコールで看護師さんをお呼びして、お世話になった。
 次の日も勇ちゃんはお仕事でいなかった。私は夕方にはそこを辞して、お家へ帰ることにした。よたよた歩いてお家へ戻った、生理用品をいっぱい持って。

 次の日のお昼前、勇ちゃんが帰って来た。勇ちゃんは私がお家にいると知っている。嬉々満面する気満々とハンサムな顔に書いてあった。
「ただいま空子、さあ犯るよ!」
 待ってただろ、寂しかっただろマンコ、と言いながら、玄関先まで歩いて出迎えた私を抱き締める。
「お帰りなさい勇ちゃん。あのね出来ない、生理なの」
 と言う前に熱いキス。その後横抱きされて、本革シートのソファがある居間まで運ばれた。その途中で言ったら勇ちゃんはぴったり止まった。
 私は、動かない旦那さまの腕をするりと抜け、床に降り立った。モノ欲しがるえっちな私にお姫さまだっこを解かれたのは初めてな勇ちゃん。どう見ても動揺していた。
「お昼にする? お風呂が先?」
 そういえば、いまさらこんなこと思い出すのもなんだけど、私ここに来てからお風呂に入った記憶がないわ。寝ているか食べているかされているか、おトイレに行っているかのどれかだったもの。
「お昼をつくったの。久し振りね。食べて」
 ようやっと揃った台所用品。きちんと服を着て行ったデパートで買った食材に調味料。あわせてお昼の出来上がりよ。生理痛はアレとは全然違うから、意識を散らすためにも一所懸命料理をした。私は結構重いのよ。
 勇ちゃんはまだ金縛りにあったままだった。それを後目に私は、ソファ前のテーブルにお昼を並べた。やっぱり手料理が一番よ! 懐かしいわ、勇ちゃんにご飯をつくるのは。
 お箸も置いていただきます。パンティがふともも? わけないわ。ぴっちり穿いているんだから。おっぱいもはだけていないわよ、デパートに行った格好そのままよ。
「空子さん」
 勇ちゃんの声は、こころなしか乾いていた。
「はい」
 私はとてもとても落ち着いていた。ふふっ、これが本来の私よ。
「今。出来ないって言った?」
「そうよ生理だもの。悪いけどお口もしないわ、おなかが痛いから」
 そういう気にならなかった。なにか、つきものが落ちた感じだわ。
「え?」
 勇ちゃんは目が点になっていた。まあいけないわ、こんなハンサムが。
「おなか痛いの。私、生理重いのよ。長いし」
「どれくらい」
 座ってくれないかしら。お昼がさめちゃうわ。
「一週間」
 勇ちゃんは座ってくれた。正確に言えば、崩れ落ちたというのだそうだけれどまあいいわ。
「さあ食べて、さめないうちに」
「空子を食べたい」
 あら、どこかで聞いたせりふね。
「ええいいわ、一週間後にね。さあ、いただきます」
 味見はしたけれど、勇ちゃんがどう想うかしら。へんだと想われなければいいのだけれど。

 勇ちゃんに、いじけられてしまった。
「ひどい空子さん」
 そうかしら。
「ここまで俺を開眼させておいて。もう俺、空子さんを犯らないと気が済まない。疼いているんだ、溜まって溜まって空子さんに射精さないと気が狂う」
 そう。でもだめよ。その気にならないんだもの。
「口もいやだって、まさかフェラチオもしてくれないんじゃないだろうな」
「そうよ」
「なんで。いいだろ、マンコじゃない」
「その気にならないの」
 この言葉は、とてもとてもショックを受けるものだそうよ。でもしょうがないわ、そうなんだもの。女の摂理というものよ。性欲というより、生殖欲だったのかもしれないわ、あれは。
 とは言わなかった。

 いじけた勇ちゃんを後目に、夕ご飯の支度をする。こんな広くていっぱい調理器具を揃えられたから、手の込んだものがつくれるわ。冷蔵庫はおっきいし、調味料は豊富。食材は新鮮。腕がなるわ。
 背後から、いつのまにか近寄った勇ちゃんに抱き締められた。
「よくこうしたよな」
 勇ちゃんの声はすねていた。あの時より背が高くなったのに、声はもっと近くから聞こえて来た。同じシチュエーションだから較べられる。交わした性で濡れていた。
 ちょっとおなかが疼く。かも。
「そうね」
「あの時は空子さん、胸が開いた服着てくれなかった。……何で今もそんな格好」
 私は、入院時の寝巻きのような襟元の服を着ていた。スカートはゆったりフレアのくるぶしまでのもの。濡れてもいないし、下着はきちんと穿いてある。
 勇ちゃんは、私が痛いと言ったおなかに触れるのは避けてくれた。血がにじんでいるおマンコに手を這わすことも。でもその代わり、おっぱいに手が来た。
「だめよ勇ちゃん」
「どうして。もう分かるだろ、どれだけつらいか。挿れさせてよ空子……」
 それはだめなの。だってそういう時期だもの。
 勇ちゃんもそれは分かって、でも溜まっちゃって、おっぱいを揉む手は止めなかった。乳首もぐちゅぐちゅされた。ちょっと、あんあんイってしまった。

 お夕飯を一緒にいただきます。服はぴちっと着こなすの。
「あんな声を出して。どれだけ溜まるか分かるだろ、せめて口でしてよ」
 私は、おっぱいもみもみなんてされたら料理が出来ないから居間で待っていてと言って、勇ちゃんを台所から追っ払った。勇ちゃんはそれに大層ご不満。全然味あわずに夕ご飯をたいらげている。つくったひとを目の前に、それはないんじゃない?
「フェラチオしろ空子。でなきゃ俺が寝ないからな」
 あら、言われ返されちゃった。
 しょうがないか……溜まっているのは分かるし、私が逆の立場だったらとってもつらい。今頃挿れて挿れてって大泣きしちゃっているわ。
「分かったわ、する。いっぱいのんであげる」
 にっこり笑って言ってあげると、やっと溜飲を下げてくれたみたい。もりもりご飯をたいらげて、お代わりがいつもより多かった。

「空子。なにその格好」
「病院でいつもこれを着ているのよ」
「知っている。ここは病院じゃない、俺と空子の愛の巣だ」
 そう、ここは寝室。クイーンサイズのベッドの上。私は入院時御用達の、丸出し禁止の寝巻きを着ていた。下着もぴっちりよ。
「マンコびちょびちょがいつもだろ。濡れたパンティとブラずり上げたおっぱいを見るのがいいんだ」
 知っているわ。
「俺が言わなくても自分から脱いで胯を広げてマンコを見せつけて挿れろ犯せぐちゅぐちゅにしろはどうした」
「一週間なしよ」
 この分だと、一緒のベッドで寝ない方がいいわね。寝込みを襲われちゃうわ。
「家に帰ったら空子を襲うことしか頭にない、と言ったぞ」
「生理だもの。つらくて苦しい空子にそんなことをするの?」
 勇ちゃんは言い返して来なかった。考えあぐねているみたい。
「何か随分空子のテンションが下がっている気がする」
 そりゃあ、この間までの空子は。
「これが一週間、なのか」
「そうよ」
「生き地獄だ」
「そうかしら。お口はするわよ」
「それだけで済むとでも?」
「そういえば」
「そういえばじゃない。犯らせて」
「いやよ生理だもの」
「風呂場でする」
「おなかがいたいの。その気にならないの」
「そんなことを言っていいのか。一週間後、俺がどれだけひどくするか分かるだろ」
「ひどくして、その時は」
「そんっっっっっっっっなことを今言われて一週間もお預けだなんて、我慢出来るとでも想っているのか!!!??」
 勇ちゃんはこの一週間、お仕事に勤しむことにしたそうよ。まあひどいわ、こういう時こそ傍にいてくれるのが旦那さまってものじゃなくって?

 でもこの考え、一週間後に後悔をした。だってほんとにひどくひどくされちゃったんだもの。
「分かったか空子。犯るぞ生理だろうがなんだろうが。俺を怒らせてただで済むと想うなよ」
 お返事なんか出来なかった。だってお昼を過ぎてもされたもの。トレーニングはどこへ行ったの?
「んなもん今からして来る。速攻で帰るからよく眠っておくんだ、丸出しにするんじゃない」
 大丈夫よ、気を失うのもの。
「万年すけべてサカってヤらしくて、びちょびちょマンコご開張が空子だ。それ以外するな。俺に犯られることだけ考えろ」
 ごはんは?
「マンコびちょびちょで作れ。俺にバックで犯られることだけ考えて作れ」
 これだからお料理をしたことないひとは。火を使っているときあぶないでしょう?
 と口に出したらお口におチンポを挿れられそう。今からトレーニングへ行くというなら、されるのはその後ね。とにかく眠るわ、気を失うわ……。

 ほんとうなら起きなかったのだけれど。その日の夜、ふと目が覚めたら掃除機の音に混じって洗濯機の音がした。
「勇ちゃん! 勇ちゃ……あ」
 動けなかった。あんなにされては、その日中になんて動けない。寝室を出ることもままならなかった。
 この音。“ふつう”の音だわ。慣れているんじゃなくふつうの音。まるで、こんなのいつもです、といった音。決してプロのとかそういうのじゃなくとも。お掃除もお洗濯もしたことないって言っていたのに。
 私をずっとお風呂へ入れてくれた勇ちゃん。
「勇ちゃん! 勇ちゃん!」
 動けなくとも声を出すことは出来る。呼びたかった、お話したかった、いつもこうしていてくれたのって。
 ずっと呼び続けても、空子の声は小さくて、掃除機と洗濯機は同時に回っていた。
「ゆーうちゃーーーーーーーーーん!!」
 声を振り絞って叫んでベッドに倒れ込むと、寝室の扉が開いて、そこからまぶしい光が漏れた。それを背に。
「……空子さん?」
 しずしずと入って来た勇ちゃんの手には、想った通り掃除機があった。

 私が自然に起きたので、勇ちゃんはこの部屋の掃除にかかった。とてもおかしな光景だった。W杯優勝チームのキャプテンでMVPのひとが掃除機を持って、そのお嫁さんがぐうたらベッドで寝ているなんて、ふつうはありえない。
「高校で叩き込まれた。掃除も洗濯も基本だ」
 私が逃げた後の高校生活。あれから五年、どんなことがあったのかは分からない。勇ちゃんが、私が逃げていなくなったと知った時の心境も。
「仕事が始まったらこういうこと出来ないからやっているだけ。寝てていいよ」
 勇ちゃんは、二度も逃げた私をののしらない。でも本当はどう言われたっていいんだわ。離婚されても、ううん、結婚なんて有り得ないのよ、本当は。
 二度も逃げた私。
「勇ちゃん。私、二度も逃げたわ。憎んだでしょう。憎んでいるでしょう、私を」
「全然」
 勇ちゃんは、まるでいつもというような手つきで掃除機を止めない。
「俺に惚れているのは分かっていたし」
 まあ、自信まんまんね。その通りだけど。
「歳がどうとか義理義務がどうで遠慮していただけだ。弾ければ、俺に全部見せてくれると想っていた。空子さんが気に掛けることはもうなにもない。飯後にセックスだ、寝ていないと保たないよ」
 そうみたい。何も言い返せないわ。
「でも勇ちゃん、目の前で旦那さまがお掃除しているなんて、空子のんびり眠れないわ」
「そう?」
「そうよ。空子がお掃除したい。お洗濯もしているの? 空子がするわ。お家のこと空子がしたい。そうしたいの」
 前からそうだった。あんな、一時間二時間だけしか一緒にいられないなんていやだった。身の回りのことを、全部やって上げたかった。
「うん、俺の仕事が始まったらね。俺の方が申し訳ないから」
 後半の言葉は意味が分からなかった。

 いつものようにお夕飯をいただく。和食の店屋物、空子はえっちな格好で。勇ちゃんは箸を持つ手で空子のおマンコを撫でて、じゅぶじゅぶ出るマン汁をなめる。
「俺はサラリーマンとは違う」
 いつものお夕飯なのに、お話の内容は真剣なものだった。
「仕事の間隔も内容も、空子さんが知っているものとは全然違う。水曜と土曜、仕事がある。その日は帰れても疲労困憊、一言も口を利けない。ばったり倒れて全部空子さんに預ける。どんなに俺が重くても風呂に入れて寝室へ運ぶんだ。どれだけ俺が口を開けなくとも飯を食わせること。重労働だよ」
 空子も真剣に聞いた。才能が全くない空子が相手でなければ、勇ちゃんはもっと容易に意思疎通がはかれるのに。
「仕事で遠征……出張がよくある。月の半分は出張だ。その代わりと言っちゃなんだが、年中仕事というわけじゃない。ただし長期出張がある」
 とにかく、サラリーマンとは何もかも違うようだった。
 お食事後に寝室へ連れて行ってもらう。ベッドにおろしてもらって勇ちゃんを待つ。脱ぎながら、勇ちゃんは空子に謝った。
「じいさまの所からここへ来るまでが新婚旅行。ロクにデートも出来ない新婚生活。建物から一歩も出さない結婚生活。いやだろ。きゅうくつだろ」
「そんなことないわ」
 言われてからそういえばと気付いたことだらけだった。ちょっとえっちなハネムーンだったわね。変わっているけど、いい想い出だわ。
「勇ちゃんの運転、かっこよかったわ。デートなんてお家でいつもしているじゃない。空子もとからお外にあんまり出たくないの、引っ込み思案だしお友達いないしお買い物し放題だし。とっても幸せよ。勇ちゃんでいっぱいなの。大好き勇ちゃん」
「まあ。カーセックスが処女喪失で夫婦生活の始まり、ってのは想像していなかった」
 いやね、そんなはしたないこと。
「処女でどうなってもいい、欲しいの、だもんな……」
 誰かしらそんなはしたないこと言ったのは。
「なによ。いやなの。はしたない空子はきらい? だったらもう言わないわ。しないもん。勇ちゃんばいばい、ソファで寝ます」
「そんなことをどの口が言う」
 勇ちゃんは、すねた空子のおマンコにゆびをずぶっと挿れてぐっちゅぐちゅにしてくれた。
「あぁン!! はン、イイ!!」
「これするとすぐ機嫌直るもんな空子」
「そうよ!! 空子はおマンコぐちゅぐちゅされるの好き!! いや!? はしたない空子はきらい!!??」
 今さらそうですと言われたら、もう空子死んじゃおう。生きていなくっていいわ。
「好きだよ、意外だっただけだ。身持ち堅いだろ空子さん、どうやってそんなふうに心を開いてやろうと想っていた。空子さん、セックスが好き? それとも俺が好き?」
「勇ちゃん!!」
 ヨダレを垂らしながら叫んだ。
「勇ちゃんが好き!! 好きだからえっちになるの、はしたなくなるの、いやらしいことして欲しいの!!」
「俺もだ」
 膝を高々と上げてマンコで暴れるゆびをぎゅって締めた。
「チンポも挿れて!! 空子をうんと奥まで犯して、ぐちゅぐちゅにしてええええ!!!」
 勇ちゃんは空子にいっぱいしてくれた。とてもとても満足した。し過ぎて翌朝動けなかった。もう慣れたわ。このだるさも気持ち良くなってきちゃった。