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 気が付いたら、もう夕方らしかった。カラスがかーかー鳴いている。
「あ……ら?」
 私は眠っていて、どこかに横になっていたようだった。
 でも、そこがどこかは分からない。分かっているのは目を開けたら、すぐのところに勇ちゃんがいたこと。何も言わず近付いて来るので、卑猥に口を開けて、舌で待っていたらすぐ来てくれた。首に腕を回して、私が勇ちゃんを抱き寄せた。もう何の歯止めもなかった。こんなすごいキスでも、それだけじゃもう足りない。ナカで暴発した勇ちゃんが、奥も何もかもぐちゃぐちゃにしてくれた勇ちゃんが、私から羞恥を奪っていた。もう腰はあんなふうに蠢いていて、膝を閉めるなんて出来なかった。
「空子さん……ストップ……」
 全然満足出来ない私の舌を途中で解いて、勇ちゃんは言った。
「なにがぁ……?」
 あれから私の声は、全て嬌声になった。卑猥な声になった。それ以外出せなくなった。
「ここ……元の所。着替えめちゃめちゃで……戻って来たんだ。声……漏れる。聞こえるよ?」
「……え……」
 そう言われて、あたりを見渡した。もちろん全身すっぽんぽんだった。そんなのなんかもう気にしなかった。
「あらほんと……前の所だわ」
 そうらしかった。でももう夕方になっている。
「ヤり直し。もう夜になるから、明日の朝出よう」
 あら……それじゃもう一度、ごあいさつをして。
 そう思って、立ち上がろうとしたの。我ながらよろよろと。
「起きられる?」
 よっこらしょと掛け声だけはいさましく、何とか、上半身だけは起こした。
「勇ちゃんでいっぱい」
「そりゃあ……まあ」
 どうしよう、立てるかしら。アソコも何もかもずっくんずっくんする。
「……痛い?」
 勇ちゃんは心配そうに私を見た。なんだか申し訳なさそうにしている。
 言っている意味は分かっている。だってとってもすごかったんだもの。私、初めてなのよ。初めては痛いって本当だわ。
 でも、この痛みはとても好き。体中に刻み込まれている。なんていいんだろう。ずっくんずっくん、じんじんする。この感覚はもう取れない、一生。
 勇ちゃんの問いに首を振った。痛いなんて言ったらさいご、もうこんなふうにはしてくれない。そんなのいやよ。痛いくらいぐちゃぐちゃに刻んで。奥に、もっとして。
 私が、痛くないという返事をモノ欲しそうにしたのを見て、勇ちゃんはほっとしたようだった。とても心配してくれている。大丈夫よ。
 ふらふら、よろよろ、あぶなっかしい足取りで何とか立った。大丈夫、ちゃんと歩ける。こんなふうに、これから歩くの。なにもなく、勇ちゃんを知らず歩いていたついさっきまでにはもう戻らない、決して。
「その恰好でどこへ行くつもり?」
 勇ちゃんはおふとんの上にあぐらをかいていた。黒目のおっきな瞳で私を見上げてくれる。
「勇ちゃんにいっぱいされるの」
 歯止めなんかない。振り向けばアソコ、そのままでもおしりが勇ちゃんの目線の真正面に来ていると分かっている。それでも、隠そうとも想わなかった。見て欲しかった。見つめて欲しかった。もっと濡れたい、もっとされたい、あんなふうにいっぱい。
「そうだけど……その恰好は、誰にも見せたくないな」
 勇ちゃんはとても困っているようだった。
「じいさま連中へ挨拶はしておいた。空子さんは今とても人前に出られない状況だとちゃんと言ってある。夕飯wo 貰って来たから、まずは食べて」
 目の前におにぎりがさし出された。あら、ちょうど食べたかったのよ。おなかが空いたわ。
「勇ちゃんに食べられたい」
 私も座った。勇ちゃんのむかいにぺったりと。いわゆる、女座りというものね。アソコを隠す気はもうなくって、膝を閉めたりはしなかった。
 かぷっとおにぎりを食べて、もぐもぐ噛んでごっくんして、勇ちゃんのソコを見つめたら、勇ちゃんは参ったな、という顔をした。

 ここではしちゃだめなんですって。どうしてかしら。でも、勇ちゃんが言うならしょうがないわ。お風呂にだけは入ってもう寝ましょう。
「空子さん。その恰好で風呂へ行く気?」
「そうよ。ちょっとはだかなだけよ。だってどうせ濡れちゃうもの」
 濡れたい。濡れさせて。
「いやその……」
 勇ちゃんは、一層困った様子になった。
「勇ちゃんは? もうお風呂いただいた?」
「……ああ、先に入って来た。空子さん、いいから服を着て。風邪を引いたり、虫にさされたりしたらだめだろう?」
 ああ、そうか。
「うん、分かったわ」
 どうせ濡れるからショーツは穿かなかった。勇ちゃんは私の乳首が透けているところを見るのが好きだし、どうせはぎ取られるんだからブラもなし。はだかの上に浴衣を着て、てきとうに帯を締める。
「空子さん。その恰好、誰かに見られたらどうするの?」
 勇ちゃんが立ち上がって、私のてきとうな帯を直しに掛かる。
「脱がせてくれないの?」
 我ながらとろんとした表情で、勇ちゃんを見上げた。
「いやあの……ここでは出来ないと、さっき言ったんだけどな……」
 勇ちゃんは、ほとほと困っているようだった。

 もう濡れているのに穿かされて、どうせはぎ取られるのに着せられて、随分と重装備でお風呂へと向かわされた。どうしてだろう、こんなのいいのに。
 私は、こけつまろびつ千鳥足だった。それでしか歩けなかった。勇ちゃんは心配してくれて、ちゃんと歩けるかと訊いて来た。
「じゃあ一緒について来て」
「堪忍袋の緒が切れそうだ」
 勇ちゃんは、隣に声が届くからしてくれないんじゃなかった。私のアソコは出血がかなりあったらしくて、勇ちゃんは私の体を休ませたくてこんなふうに言ってくれていた。でも私は、自分でそれを見たわけではないから分からない。
 しょうがないからひとりでお風呂に入った。ちょっとさみしいわ。でも、とってもすけべなことをして、いっぱい汗をかいてしまったから、とにかく流さなくっちゃ。
 ゆっくり入って、よく洗って、たっぷり堪能して、お風呂をあがる。ちょっと滲みた、かしら。
 着替えの浴衣はめんどうだから単にはおって部屋へ戻った。体がほぐれたので、ちょっとはふつうの千鳥足になったと思う。
 部屋の障子を開けると開口一番こう言われた。
「空子さん。帯は」
 勇ちゃんは、逞しい体に揃いの浴衣を着て、私と違って帯を締めている。さっきと同じ、ふとんの上にあぐらで座っていた。なんだかとっても機嫌が悪そう、むすっとしている。
「熱いんだもん」
 障子を閉めて、ふらふら歩いて勇ちゃんのそばへ行く。ちらちらアソコを見てくれる。透明なヌルヌルをたっぷりふくんだ黒いしげみ。
「下も上も全部丸見えだって、ここじゃセックス出来ないって分かっている?」
「ええ勇ちゃん。もう寝ましょう」
 熱いので浴衣を脱ぐ。おふとんは隣にもう一式敷いてあったけど、もう離れるなんていやだからこっちへ来た。勇ちゃんをどかせておふとんにもぐって、勇ちゃんにも来てって言って、勇ちゃんにぴっとりと抱き着いて眠った。
 脚を絡めてあげたのよ。濡れたアソコもびちょびちょ押し付けて、厚い胸板にちゅっちゅってしたの。おむねでぐりぐりもしてあげたわ。ああ、とっても気持ちがいい。

 あ・さ。
 ああ、朝焼けは気持ちがいいわ! さあこれから労働をするのよという気持ちになるわ、晴れやかだわ!
 気持ち良く起きてふとんを後にし、障子をすっぱーんと開けて、やっほーと言いたかったのに、誰かがそれを押し止めた。
「空子さん! 素っ裸だって言っただろ!!」
「まあ勇ちゃん、朝っぱらからそんな声を出して。ご近所さまに筒抜けよ」
 振り向くとそこには勇ちゃんがいた。なにか随分やつれていた。

 またしても服を無理矢理全部着せられた。随分重装備だわ。どれだけお口で嘗めてもらってもどうせ濡れちゃうのに。そう言うと、勇ちゃんはおおきな手で顔を覆った。
「確かにそうだ。その通りだよ空子さん。けどね、今から俺の恩師とその連れ合いの所へ行くんだ。二人でじゃなくて四人で朝飯を食うんだよ」
「うん、勇ちゃん食べて」
 ついつい手が勇ちゃんのソコへ行ってしまう。だってしたいんだもん。
「だから! ここでは! 出来ないんだよ!!」
 どうも勇ちゃんと私は話が合っていないみたい。いやだわ、どうしましょう。

 結局、朝ご飯の場では、私の言っていい言葉が制限された。えっと、いただきます、おいしいです、ごちそうさまでした。だけですって。
「分かったわ。勇ちゃんをいただきます、勇ちゃんはおいしいです、勇ちゃんは」
 勇ちゃんって付けて言うのもだめですって。どうしてかしら。一体いつ朝ご飯なんて作ったのかしら、私は何もしていないのに。

 勇ちゃんと手を繋いで一緒に部屋を出た。歩き方はもう元に戻っていて、はた目で見ても大丈夫だったそうよ。だから私は居間に着く早々、勇ちゃんの言い付けを破ってこう言った。
「おはようございます」
 これはいいわよね。調子に乗って、仏壇へ行って木魚を打つ。浮かれてアーメンなんて言わないわよ。
 朝ご飯は、おじいさんが作ってくれたらしかった。すぐ一日後に戻るなんて思わなかったわ。
 勇ちゃんはおじいさんに、この元気な人を今日一日働かせてくれと言っていた。元気な人とは私のことみたい。働くのはいいことだわ。というより、ここの日差しは労働意欲をかき立てるのよ。働きたくてうずうずするわ。
 すっかり農耕モードに戻った私を後目に勇ちゃんは、恩師に向かって今晩は遠慮してくれ、みたいなことを言っていたらしい。全然聞こえなかったわ。

 私がいつものようにお陽様の下で土と戯れていた間、勇ちゃんはバタンキューして、お部屋で熟睡していたんですって。どうしてかしら。とにかく、起こしちゃいけないってことになって、お昼はいつものように三人でいただいた。食べなくていいのかしら勇ちゃん。
 午後もお陽様の下で土と戯れる。ああ、これがいいんだわ。そうよ、これがいいのよ。
 たっぷり汗をかいた夕方に、さいごの一仕事を。薪を割ってお風呂を沸かし、夕ご飯の支度をする。それで眠るのよ、たっぷりと。
 そう思っていたんだけれど。
「じゃ空子さん、出掛けるよ。すぐに戻るから、ちゃんと戸締まりをして待っていて」
 どうしてこうなるの? どうしてさっきまで眠っていた勇ちゃんが、老夫婦二人とどこかに出掛けて、それで勇ちゃんだけがすぐ戻って来るの? 
「ちゃんと服を着ているんだ。俺がいないところですっぽんぽんなんて悪い癖だ、俺は空子さんをそんな風に育てた覚えはありません」
 まあ、私の口癖をよくも。
「ちゃんと言うことを聞きなさい。ダーリンと呼ばないとだめだろう」
 なにか、後半が違うわよ。私と。
「ダーリンって呼ばれたいの?」
 それは知らなかったわ。
「……勇児と呼ばれたい」
 そうだったの。知らなかった。
「分かったわ。帰ったらそう呼んであげる。行ってらっしゃい」
 ついつい手を振って、勇ちゃんの運転するレンタカーと老夫婦二人を見送ったのだけれど。
 ところでどうして家の主二人が、夜の夜中に出掛けなくてはならないのかしら?

 その理由は、一晩たっぷりと教え上げられた。
「ひぃんっ!!! あアんっっ!! ああああアン!!」
「この!! この、よくも……空子!!」
 奥に、とってもいっぱいされてしまった。とても太くて堅くて熱い勇ちゃんのモノが、私のアソコを奥まで裂いてゆく。ずっとずっとされたかった。
 とても卑猥なことをしたわ。四つん這いになっておしりを突き上げて、アソコを指で広げて、ココに挿れて無茶苦茶に犯して、なんて叫ばされるのはまだ序の口。仰向けになってうんと思いっきり脚を広げてアソコを突き上げて、足の指でぐちゅぐちゅにしてと言うのもまだまだほんの小手調べ。だってほんとにそうされちゃったんだもの。私のおっぱいで勇ちゃんのアレを挟んでうんと扱いて、じゅるじゅる出る精液をごっくん飲んで、舌でびちゃびちゃヤるのもご愛嬌よ、まだまだだそうよ。だってその間、私のアソコを指でぐっちゃぐちゃに嬲り尽くされていたんだもの。舌なんて、おしりのアナに挿れられたのよ!
 そのおしりのアナを、一番天高く突き上げる恰好にもなって、そこから突き落とされるように犯されたのが一番すごかったわ。私の熱い、はしたないアソコは、お豆も蜜ダラダラなところもおしりのアナも奥まで全部勇ちゃん、ううん、勇児だらけ。
 えっちな私は、脚を閉じることなんてもうしなかった。ずっとがばっと裂けるように開けていた。指でずっと入り口を広げていた。ずっと見せつけていた。胸は揉みし抱かれ過ぎて、乳首は咬まれ過ぎて、舌は絡まれ過ぎて、アソコは全部嬲られ過ぎて、とてもとてもじくじくした。次の日は動けなかった。だって朝日が昇るまで犯されていたんだもの。

「空子。朝だ」
「んむ。あむ」
 私は勇ちゃんの股間に顔を埋めて、一心不乱にしゃぶっていた。もう下半身はぐったりしている。精液は飲みすぎてよく分からない。でももっとしてほしい。
「もっとえっちなことして欲しい?」
「んむ」
 頷く代わりに吸っていた。欲しいのよ、飲みたいわ。
「口で言うんだ。下の口でも」
 ゆうべはこんなことばっかりだった。全部口で言ったのよ、とても恥ずかしいけれど、して欲しいからそう言うの。
 しょうがないから、ちょっとだけ勇ちゃんを離して。
「欲しいの。えっちなことして、すけべなことして、空子は勇児がいつも欲しい……」
 そう言いうの。蠢くおしりはもっと振るの。太ももはびちょびちょでずっと濡れていた。白濁したままだった。
「最初からだろ。ヤり直し」
「あアん……」
 勇ちゃんのコレ、竿というのだそう、だけは離さない。おしりなんか物欲しげに蠢いて止まらない。ぬちゅぬちゅ言わせながら言い直す。
「最初からずっと、こんなふうにされたかったの。ひどいことばかりしてごめんなさい、もうしないわ……」
 それから勇ちゃんの、カリというのだそう、をあむっとくわえてよく扱くと、ようやっと勇ちゃんはよさげな表情になってくれる。
「空子。ソコに欲しいだろ」
 うんうんと頷いた。おしりで。
「こっちに向けろ。いたぶり尽くしてヤる」
「あぁん……」
 そうされたい。サカった私のアソコはもう熱くて濡れそぼって欲しくて堪らない。
「コレを挿れてぇ、奥にいっぱい……」
 精液だらけの口をちょっとだけ離す。もう、ココに腰を下ろして奥まで突き上げられたい。
 そう言った。
「じゃあそうしろ。空子は世界一すけべだよ」
 いいって言ってくれたから、その通りにした。もう麻痺している下半身を勇ちゃんに深く埋めて、私が淫らに腰を振った。

 日もとうに昇ったお昼前。勇ちゃんは、電話をかけて来る、すぐ戻るから待っていろと言った。
「一緒はだめ……?」
 私は、だるい下半身を持て余していた。横になって、それでもおしりは勇ちゃんに向けて、片脚を上げてアソコを奥まで淫らに見せつける。
「空子のその声は誰にも聞かせられない。ちょっとだけ待って。すぐに戻る」
 でも、勇ちゃんが戻って来たのは、すぐじゃなかった。

 障子を開けられた時、もう私の意識はなくなる寸前だった。眠いのではなく、疲労のため意識を失いかけていた。
「ごめん、空子さん、待った……」
 そういう声が聞こえた気がしただけだった。
「ご飯を買って来たんだ、何も食わせていない……」
 食べる気はなかった。私が思ったことは、ああこれでもう眠れると……
「ぐあい悪いの、空子さん……」
 何かを言っていたようだけれど、もう私は……。

 目が覚める。けど、はっきりとは起きられない。とにかく、すぐ近くに勇ちゃんがいてくれるのは分かった。熱い息、抱き締める強い腕、厚い胸板、勇ちゃん……
「勇ちゃん……」
 寝言のように言っていた。抱き締められていたから、したいことをした。勇ちゃんにちゅっちゅってキスをする。舌で味わう。美味しいの。
「おはよう、空子さん」
 勇ちゃんもそうしてくれた。私の髪にそうしてくれる。そう、勇ちゃんに教わった、こんなふうにしてくれると気持ちいい……
 教わった通りにした。勇ちゃんの乳首を甘噛みする。よく抱き締めて、それから舌を這わせるのよ。それで、勇ちゃんを食べちゃうの。
「待った空子さん、ソレ待った……」
「いや……生殺しはだめだ空子さん……」
 私の頭は寝ぼけていて、いろいろ混乱していた。ここはなんとなく、車の座席なような気がするのに、どうして運転手役の勇ちゃんが私を抱き締めているのか、ここはどこなのか、どうして待ったなのか、さっぱり全然分からなかった。
 ぼけた私はともかく、勇ちゃんは苦笑してこう言った。らしかった。
「うん、確かにだめなんだけど、もうちょっとだけ待って。そしたらまたさっきみたいにして上げる」
「ほんと? ……もう待つのはいやよ、さっき待ったわ……」
 また、私は眠ってしまった。だから勇ちゃんの、参ったな、というつぶやきは聞こえなかった。

「これで最後にしてくれよな。そのひとは苦手だ」
「そう言うなよ」
 私は眠っていたのだけれど、車の中ではこんな会話があったそうよ。
 その場所は、もうおじいさんとおばあさんのところから千キロメートルは離れた所、都心の一等地。勇ちゃんのお家へ向かっている所での会話だった。
「俺を変質者と思っているぞ、絶対」
「それでいいだろ」
 ちょっとだけ苦々しく言う人は、私があきらかに変質者扱いした、私こそ苦手な人だった。受け答えしているのが勇ちゃん。
「何でいいんだ」
「空子さんが惚れたら困る。この人はあぶなっかしいんだ。無防備なんだよ」
 まあ。それはちょっと、ひどいんじゃないの。勇ちゃん。
「そうかそうか。まあ、結婚出来てよかったな。披露宴はしないのか」
 そうよね、ふつうするのよね、そういうの。
「しない。ジミ婚、俺だけ記者会見。どうせ根掘り葉掘り調べられる。余計なことは耳に入れたくない。空子さんはここから一歩も出さない」
 やっぱり、調べられるんだ……。
「その方がいい、ちょっと聞いただけでも複雑だ。俺はお役御免、でいいな」
「ああ、ありがとう。お疲れさん」
 変質者さんは、羽田空港から降りた私と勇ちゃんを乗せた車を運転してくれているのだそうよ。間違っても変質者じゃないし、いい人だそうなのだけれど知らなくていいの。だって勇ちゃん、無防備な空子のせいですごく嫉妬深くなっちゃったんだもの。

 私が次に目覚めた時は、自然にではなかった。勇ちゃんに起こされたの。
「空子、空子……着いたよ」
 その声で、私は意識を取り戻した。着いた……?
「勇ちゃ……」
 ああ、目の前に勇ちゃんがいる。
 それは熱いキスの合図。私はふたたび目を瞑って、勇ちゃんの首に腕を回す。そして口をいやらしく開けて、舌を浮かせて待つの。勇ちゃんにいっぱいされたいって顔をして。
 勇ちゃんは来てくれた。熱く激しい舌が私をとろけさせる。うっとり唾液を飲み続けた。
 自然に舌が、唇が離れる。よだれがぷつっと切れるか切れないかのうちに、言った。
「おなかすいた……」
 えっちな性欲とありきたりの食欲。どっちを取るかといわれれば、今だけは食欲よ。勇ちゃんはあきれていた。そりゃそうよね、ぐーぐー鳴っているわ、私のおなか……。