yes? YES!!

 友達と遊ぶと言って出掛けた忠弘が二時間後、にこにことした表情で帰って来た。一見、愛しの妻に久しぶりに逢えて嬉しい。しかしてその実態は。
「……それ、なに?」
 忠弘は、手土産を持参してのお帰りだった。
「プレゼント」
 いつもの嬉々満面。それはいいのだが。
「……中身は?」
 よくある、寿司の詰め合わせじゃなさそうだ。
「俺は裁縫も出来ない」
「……そう」
 きれいに可愛くラッピングされた品を受け取る。愛の巣に抱き上げ連れて行かれ、ベッドの上に座らされる。そこで開けろとのお達しだ。丁寧に開封した。さて中身は。
「……裁縫道具だね」
「うん」
 内容物は針、糸、はさみ、布二枚、ピンク色のフェルト二枚。
「これが肝心のブツだ」
 忠弘が気合いを込めて指し示したそれは、型紙だった。
「……“YES”?」
「うん!」
「……他には?」
「必要なのか?」
 必要だよ。清子の心の声。
 他があるのか? 忠弘の性欲の声。
「……そう」
「うん」
 清子は、言われるまま型紙通り、フェルト二枚から“YES”をふたつ切り取った。そしてそれを、二枚の布にそれぞれ縫い付けた。さらにはそれを、嬉々満面な忠弘のたっての願いで、枕の裏表に縫い付けた。
「もう、これでないと眠れない」
「……よかったね」
「さぁやもだろ」
 応える間も与えられず、即座に襲われ激しく致され、ろくに眠らせて貰えなかった。

 連れ込まれた日にどこかでYES・NOまくらを買って上げて、後はもうトンズラ、アパートに帰りゃよかったな。という考えが頭をよぎったが、結果はどうせこうなると想い、言うのは止めた。