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 観念したので投げやりに、まずはモスコミュールを注文した。超美味高価もいいけれど、身近なものを味方につけたかった。なのに出歯亀と化した美女と来たら、いつもの完璧所作はどこ吹く風。シースルーのナイスバディにこんな張り紙を貼ってお給仕だ。
“ただいまノゾキ中”
 清子はいつものを一気にあおった。飲み下してから気付いた、アルコール分がいつもの倍以上だ。慣れない飲み方をしてしまい、頭の中まで熱くなる。
 空になった超高級グラスをテーブルにどんがり置いた。
「でえ」
 呂律が回らないような気がする。相手が見えないような気がする。座っている感覚がない。酒−タバコ÷女×セックス+麻薬=幻覚に惑わされて語り始めた。
「とにかくあの、お茶事件があった訳ですが中略しろって言いたいんでしょう略しますよ。全く、あれがないとこの場の三人揃わなかったんですけど? はいはい省けね、はいはい。
 すっ飛ばして、忠弘様を金曜の夜、どーやって誘ったか申しましょう。はあ、真っ裸で。忠弘好きって言いましたよストレートに。私からキスしましたよう。それまで舌を搦めて上げなかったんですが? 自分から滅茶苦茶嘗めて吸って飲んで上げましたよ。ええ美味しいですよ忠弘の唾液は!
 もう濡れまくりの溢れまくり。お尻を、いつもですがやーらしく握り掴まれて持ち上げられましたので? 応えて脚を搦めましたよう。こっちは真っ裸、向こうは服の上からアレとこっちこすりつけ合いましたよう。ええ最高でしたよう。
 でえ。忠弘様は本番でなきゃ満足しない方なので? ベッドに投げ落とされましたよう。あの方はもどかしげに服を脱ぎ捨てて。はいはいここからが訊きたいんでしょう、お願いですからいい女がそんな、ヨダレたらして目ぇ爛々で迫らないで下さいよ……
 で。ええアレがズバリのズブリですよ。ええ正常位ですよ。こっちはM字のガバリですよ。いやもー……はあ、これが一番訊きたいんでしょう? ええ最高でしたよう。あれが絶頂って言うんですねえ。はあ、ノーミソにでっかい火花がばりんばりんに散って記憶飛びました。体のど真ん中にミリミリ無理矢理奥までズドンですよ。信じられない衝撃っていうか圧迫凄過ぎて体はもう真っ二つ、一生刻まれますよコレは。ええ今でも忠弘にブッスリ犯されてますよ!
 でえ。忠弘様は私の中をそれはそれはご所望で。しばらく堪能したかったんでしょうねえ、動かずそのまま。でえ。こっちはすけべえでしたので? 耐えられなくて自分から腰卑猥に動かしましたよ。地獄の釜だって抜けるくらい愛されちゃってますからねえ、とても動けない体位のさなかをゴーインに、自分からアレが抜ける一歩手前まで腰引いて、奥に当たるまでヌップリ沈めましたよう。はあ、直に見たかったって? 誰が見せるか!
 でえ。後はもう、二人で卑猥な水音出しまくりですよ。腰振ってチチ振ってケツ振ってヨがって喘いで啼きまくりましたよ。忠弘愛してる結婚しよう。ずっと前から好きだった愛してた。一生手料理作って上げる。縋っていいぞ甘えていいぞ、一生一緒に生きてやる。欲しがってる言葉は全部言いました。五歳の時から眠れなかった、でも私を連れ込んだあの日に初めて熟睡した、その時私の夢を見たって。訊いてないけど、多分私がキスして名前を呼んだっていう夢だっただろうなあ。つまり正夢っていうか、現実に起こったことを夢で実感したってことだろうけど。
 でえ。私は忠弘様の所有物です、なんでも致して下さいませって言いましたよう。そしたら俺は嫉妬深いから、月曜朝に会社辞めろって。ノリで辞めると言いましたが。
 ……仕事、好きだった。上司男はほとんど無能で嫌いだけど、やりがいあった。楽しかった。せっかく仕事覚えてコツも覚えて、さあこれからって時なんだけど……今までお待たせしちゃって。し過ぎちゃって。とても言えなかった。
 忠弘は私に家を一歩も出るな、俺達の家を守れって。守るのはいいけど一歩も出るなってそれはないでしょう? 私ゲーマーだけど、それ以外は外に出て遊びたいよ。でも、忠弘と一緒でさえ外に出るな、だって。これからどうしよ……
 でえ。そんなことはどうでもいい、どう喘いだか言えって? あのですねえ、あんな一生懸命犯られまくっている最中に、本能で出させられたのどう言えって……はあ。なんだっけなあ。忠弘、忠弘、た・ただ・あ……ッ愛してる! 愛してる愛してるあいしてる!! ア、ア、ァ、あ・ン・ん……ん! ……ァん! アン! ぁ・ああああ!!! ん……もっと、もっと、もっと、ぁソコ……あ! はげし! スゴぃいい、……熱い! ただひろ!! だっけ? 勘弁して下さいよ……
 なにい? 忠弘はどう言って攻めたのかって? はあ、だから犯られまくってる最中だってば、記憶しようとかいうのがそもそも間違いなんだけどな……もっとださぁや、もっと啼け! ……く、……キツ……締めるな……イくぞもう……まだだ、……っ、……あ……ぅ、愛してる、愛してるさぁや……ん、……ッハ、ッハ、……この!! だったっけ? 終止こんな感じですよ。啼け啼け喘げ、キツい締めるなイけイけさぁや愛してるですよ。こればっかですよ。
 ピストン運動の感想は? はぁ、ですから……死ぬほどぐりんぐりんに犯られましたよう。熱い激しいなんてもんじゃない、快楽快感でしたよう。なにも考えられないって。オーラルの時指と舌の出し入れだけでもビリビリ感じてイきまくったのに、あんなでっかいのが奥までドガンドガン……理解出来ない動きしてましたねえアレは。凄い速度だったり浅い深いにローリングで……全部性感帯になっちゃいましたよう。
 早漏か? わけないじゃないですか、どれだけ突きまくれば満足するんだろあの男……延々イかされまくって更には奥に出されてそれで絶頂、想い出すだけで体力なくなりそ……脚が、腰が……こっちは内勤だっつーのに……声嗄れてるでしょ? まさにお疲れですよほんとに……
 中出しされた感想は? はぁ、あのですねえ……いやもう、ノーミソの奥までまき散らされましたよう。熱い激しい毎度大量、子宮ぶっ壊されましたよ。精液愛液がべろんべろんのべっちゃべちゃですよ。全部舐めて吸われましたよ。一番の手料理だ美味しいぞとか。君の手料理が食べたいってはっきり言ってこのことだったんだろうなあ……。
 なにぃ、何回戦までイったって? 分かるわけないじゃないですか、こっちは犯られまくって出されまくってんですよ。もういいって言ったら殺されると想って我慢して、ちょっと休ませてって言う間もなく延々ズッコンバッコン……絶倫ってあの男のことを言うんですよ。私に惚れてから一年半、一体どーやって独りで暮らしてたんだか……
 はあ。犯られてない体位は、って? だからもう……はいはい。何故か忠弘様は四十八手の知識が大いにおありで。なんとかかんとか次々名詞出されて……無茶苦茶でしたよう。苦しい体位ほど好きらしくて。どこで調べたんだかあの男……多分っていうか、ええ四十八手全部されました。なにぃ、それ以外もある? 勘弁して下さいよ……
 しょうがない、言いますか。ええ忠弘様は大人のオモチャの知識が大いにおありで。なにぃやっぱり? 勘弁して下さいよ……ええ言われましたよローターがどうのバイブがどうの。びけつにズブリと挿してやるがどうと言われ。勘弁して下さいよ……ええオナニーさせられましたけどねえテレビ電話で結ばれる前の日。よくないですねアレ。忠弘じゃないといやだってば……はあ、これが一番訊きたかったって? そーですかそーですか……
 縄とか拘束具で縛りたいとか。目隠しの方が感じるとかまで言われましたよう。絶対Sだあの男は。この分だと近い将来ローソクとムチですよ。なにぃやっぱり? 勘弁して下さいよ……
 はあ、あの破廉恥な下着で迫りました実家で。噴きませんよ鼻血なんて。破かれて朝までですよ、どうせこれがこれから毎度ですよ。だから、こっちは死ぬ気で喘がされたんですから、ただひたすら疲れ果てたんだから実況中継させないでってば……
 はあ。ええ、シチュー作ってる最中、指くらい我慢しろ! って命令されて指二本中に咥えて料理しましたよう。根性だよなあ我ながら……手抜きシチューだからなんとかなったけど、他は絶対出来ない……でもさせちゃった、料理のりの字も知らない男だから絶対これからもされる、どうしよう……
 で。ええ、見ての通り意味もなく死ぬほどキスマーク攻撃されました。犯り過ぎです見ての通り。だーーーれもツッコミませんでした。なにしに二人で出社したのやら……
 ところでスマタとパイズリってなんですか? こういう質問されたいんでしょう分かってますよだから訊いたんですよ。はあ、そんなこと……あの男なに考えてんだか……離婚しよっかな……はいはい、そんなこと言ったら最期、マジで殺されますよあの巨根で。はいはい、羨ましいでしょ? べー、だ。
 これで勘弁して下さいねもう。ええ、忠弘様は私を起こす時、バックで犯るという決まりを作ってらっしゃるようで。必ずこれで起こされます。自分のやーらしい水音で起こされるんですよ……はいはい快楽快感ですよ、ええあれでないともう起きてやらないですよ! なにぃ、普通は乾いているもんだ、よく引きつらなかったって? 寝てる暇もないんだから乾く暇もないんですよ!
 はあ、じゃオマケ。忠弘様は私のムネが大層お好きで。これ見たくてバックの次は抜かず正常位です。これもお決まりらしいです。えぇえぇクリも必ずですよええ。
 あーああ……四ヶ月どうしよう……忠弘は天国らしいけど、体力差があり過ぎる私に言わせればもう、はあ……
 忠弘どうやって止めればいいかなあ……酷いこと言ったりやったりしたこっちが悪いから強気に言い出せなくて。ちょっと言ったら五歳児傷つけちゃうでしょう、それは出来ないし……週末ちょっとは寝かせて貰ったけどあれでもう限界。今頃忠弘は四ヶ月セックス出来るぞ犯りまくりだ、やったーって喜んでるんだろうなあ、どうしよ……
 で。ほんとにもう、勘弁して下さい。いーですね」
 高級じゅうたんの上で転がる出歯亀二人に言い捨てた。腹を抱えてひっくり返って、片や美尻がハミ出し半ケツ状態。片やそこまで分別を失ってはいないものの靴はしっかり脱げている。どうせ「社運を背負ってなんてカッコ付けといて、アタマん中はやっぱそれか」とでも思っているのだろう。絶対笑い殺してやる。
「もー喋りませんよ」
『ハイハイ……』
 酒はとうに抜けていた。追加が欲しくて、清子はワインセラーを勝手に物色した。