blog 186

Mon,20 Dec 2010

12.本当にそれでいいんですか?

more...

 俺は気付いちゃいなかった。今の俺は部活と茶を淹れること、家事に和服の着こなし……都合三生ずっとマジメに修練した分野は全部、なんとあの哲也の絶品芸百般みてえになっちまっていたと。まさかそこまで思い上がれる筈はなかった。だが気付くべき、自重するべきだった。披露しちゃいけなかった。哲也もアキもそうだったのに、目の前にいい実例があったのに、俺にそれを当てはめることが出来なかった。考慮の範疇外を遠く過ぎていて、哲也に諭されるまで、気付けはしなかった。これが一番ヤベえリアクションだったと。

 家へ戻って飯を食らって、二階へ上がる。電話した。
「自信あんの」
「イロイロねえ」
「なあ、お祭り、何に出るんだ? 俺はバレーと騎馬戦。ラス前の競技、出てえなあ一緒に」
「随分ヨユーじゃん」
「まさか」
 俺の辞書にその分野の文字はねえ。って、自慢するこっちゃねえ。
「下がったらどうすんの」
「いや、マジでやった。ちゃんと上げてえよ」
 ホントに。マジで。上がってくれよな俺のセーセキ……。
「なあ、何に出るんだ? 観てえよ。……ああこれ、詮索か? 言いたくねえなら、無理して言わなくていい」
「べっつにー」
 良かった。
「じゃあ、……ああそうだ、組は赤だよな。レンシューの時隣で見た。俺は白だ。一緒の組になりたかった。来年は一緒になろうな。ってさ、哲也文系か? 理系か? 俺は文系」
 そういや哲也と初めて会話をしたのって、お祭りがおわって斉藤が登校して来た時だったんだよなあ。アレ、やっぱやらなきゃマズいかなあ。もう別に、そういう必要ねえし、誤解されたかねえしなあ。
「出る競技はバレーと騎馬戦。どっちも白一年と対戦予定があるとは聞いていない」
「同じだ」

 試験明けの学校の雰囲気ほど心地いいもんはねえ。めっさやたらと開放感。そう、祭りの前だった。
 以前のこの時はとにかく試験明けってんで嬉しかったあとはハツコイがチラホラだった、のにぶっ倒れるとまでは予測出来なかった。だが今はもういい、倒れとけ。自称親友や闇だらけの亭主やロクでもねえ三対一、しかも蛇までさらに二匹。こんだけのシロモンを命削ってまで抱えて地獄の血水を十五年間、常に一杯一杯……短命以外ねえ。
 ほんでも、俺が手助けするとリアクション。倒れさして、休ませてやりてえ。
 そういや俺って病院行かなくてもいいんじゃねえのかなあ。どうするかな。
 コケにされねえようにやり過ごせる方法はある。病院へは行かねえ。文化祭では上手く言って斉藤をメンツから外す。文系へ行く。カンタンだ。
 ……ほんでも……
 きっとアレやコレやがあって、来年の合同の、あの哲也の勇姿があると想う。何となく、あいつらは哲也に対してでさえも油断していて、そこを哲也の牙で一発仕留めた、っつーカンジなような気がする。
 コケにされるのは丸でかまわねえ。哲也さえ引き立てられりゃ……
 斉藤はおそらく成田から身を引く。したらあの、ロクでもねえ勤め先とやらに特攻だ。大体十七十八そこらの身空で休日無しの深夜残業たあどういうことだ。ショボいネットで暴露するとか、オヤビン系警察官に直訴告訴だかしてやらあ。切っ掛けを作った俺は関係各者にどうこうされんだろうが、ドンと来いだ。その上で、絶対受かってやる。都合四度目、こちとらこれでも高年齢なんでい!
 おし。ハラは極まった。ドンと倒れろ斉藤。

 電話をする。
「何か部活やってねえのか」
「帰宅部」
 お、そういやきちんと会話になっている。
「中坊の時は」
「バレー」
「ああ、ほんで合同、バレーなのか」
「そ」
 おお。きちんと会話しての一文字だ。なんかスッゲー安心する。
「俺は、足のスポーツやってっから、正反対なのと想ってバレー。そうそう、いま体育の種目バレーだよな。何かさ、プレイとか教えてくれ」
「ふーん」
 ああそういや……そういや三対一がいるんだった。
「教えてくれ」
「俺。セッターだったけど。トス上げってタイプじゃないね。目立ちたがり屋はああいうポジション合わない」
 うーん、見事に声の抑揚が変わらねえ。
「じゃあ俺ってどこのポジション合いそうだ」
「サッカーじゃどこのポジションなの」
 おお。実に本格的な会話だ。
「まあ、攻撃陣ってヤツだな」
「そ。じゃセッター対角でもすれば。攻撃陣だから」
「スパイク打つやつか」
「そ」
「っつーコトは、哲也のトス打てるのか。何か教えてくれ」
「俺はサッカーすんのキョーミないけど」
 ああ、授業でサッカーがあっても貸し借りじゃあるまいし、教えられる憶えはねえってか。
「観るのはキョーミあっか」
「ワールドカップとかはサスガにねー」
 おお、無っ茶会話になっている。
「家、喫茶店っつったろ。合同休みの時、和服で店やっから。コスプレ喫茶。よかったら来てくれ、勘定なんか取らねえよ」
「結婚予定のカノジョとデート」
「ほんでいいぜ」
 小松。俺に言わせりゃデラ別嬪なんか足下にも及ばねえ。
「何で絵? 食って行けなくてもいいワケ」
「何で絵なのかは、美術室の後ろにある俺の絵を観てくれ」
「スッゲー自信」

 五月末日。この日はこの学校が、今までで一番混雑する日。
 そう、お祭りだ! 若干一名倒れるが、それはそれでいいんだ。
 ってなワケで、佐々木の勇姿を久々に観た後、ミンナがミンナ各々の会場へ。俺は第二体育館へ。今日明日はここに居続けだ。
 周囲にゃなんやかんやとわらわら集まって来た野郎連中が気がつきゃいた。だーかーらー、何でB高E高来ねえんだよなんて今さら言ってもしゃあねえっつの。済んだことだっつってやり過ごす。だーかーらー、タダのダチの出場種目だ対戦相手なんか知りたかねーっつのペラペラ喋るんじゃねえ。オイオイ大塚、それに荻原、アララ相馬まで来やがった。いや、こいつらは懐かしくていいんだが。
「聞いたぞ井知。珍しくぶっ倒れたんだってなこのあいだ」
 とは相馬だ。おお生きていたか。そーぶんはねえよなあ。
「風邪を引いただけだ」
 もうぶっ倒れているんだよ、このお祭りの最功労者はな。
 と思っていたら周囲のミンナが声を合わせて鬼の霍乱と言いやがった。なあ。んなダミ声を、二階の応援席から出すんじゃねえよ注目浴びんだろうがよ。
 気が付きゃ声はダミだけじゃなく、ちっと黄色めいたモンもあった。部のマネージャーとかF組とかB市のヤツらとか。あーああ、藤谷にゴンまで居やがんの。どう見てもバレーをするヤツら以外がいたんで言った。
「なんでこんな所に寄って固まるんだよ」
 したら返事はこうだった。第一体育館は例のアレで声が黄色くて異様で実にオソロシイ。よってそこは避け、座れるこっちへ避難した、だから野郎が多いんだ、と。なる程な。
 それならってんで追っ払えもしねえで、次の、俺の出る試合までテキトーにテキトーに話をした。

 第一試合がとっとと終了。さーて俺の出番だぜ。
 そう言ってやかましい一団の中を飛び出して一階へ。背後からは頑張れよとか応援すんぞとかダミ声が聞こえる。んなもん要らねえっつーの。 
 知り合いのいねえ白一年バレー。弱っちいが、言い訳にゃならねえ。セッター役の田中(仮称)にゃあ、いいからオープンで俺に上げとけっつっといた。バックアタックも出来っから、っつったら、んなトスは上げられねえとよ。そうかいそうかい。

 ……とにかく弱かった。これが試合後の俺の感想。よく三回戦まで行ったなあ、百年前。
 とにかく俺が打ちまくった。目立ちたがりと想われてもしょーがねえ。この場限りのチームメイト五人は全くヘタクソで、バレーは経験者ったって高校じゃ授業以外やったことはねえ上、現在誰も運動部じゃねえし、挙げ句中学じゃ全員ベンチ入りも出来なかったというステキなメンツ。そうかいそうかい。前ってどうやって勝ったんだ?
 五人と来たらサーブは入らねえレシーブは出来ねえトスは出来ねえスパイクはネットに引っ掛かるとステキなシロモン。ぶっ倒れたやつの首根っこを引っ掴んでここへ引き摺り倒し、ホレあんただけじゃねえんだ自信持てよと言いたくなるくれえだった。温厚温和なこの俺にここまで言わせてくれる程だあんがとよ。
 ほんでも一応勝ちはした。なんとなく八割方は俺が得点したような気がするが済んだことだ。ケータイその他荷物を預けていた二階の一団とこへ戻った。
 ……したらやんややんやの大騒ぎだ。なあ、そーやってだな、俺をサカナにおちょくらねえでくれ。ぴーぴーカッコイイだのよっモテるねだのガンバってんじゃんナニ本命いんのとかヤる気満々だなこの野郎とか言うんじゃねえよ。
 しょうがねえから負けたかねえんで何となくだ、っつったらご謙遜がどうのとか、またしてもおちょくられた。あーああ、何でこういうのだけ同じなんだ? この分じゃ来年にゃ確実に、管内一のおちょくられ男とアナウンスされること決定だ。
 二階の一団は、自分の競技に出場するからだろう、いなくなったやつもいたが増えたやつもいた。ほんでもやっぱ、哲也と小松はいなかった。
 合同はチーム数が多いんで、特別ルールだ。一セットのみ十五点のラリーポイント。だから、一回戦で負けちまうと三日間つまらねえ。大概のやつは三日目に何かの競技に出る。
 哲也は次の次の試合にお出まし。するってえと、一団のほぼ全員が哲也に声援を送っていた。こいつらは主にB市の連中だが、そういや哲也ってこっちのやつにも有名なんだよなあ。俺もノリで参加。目立ちゃしねえだろ。
 哲也は野郎が多い一団に視線をくれて、暇だねっつって試合に臨んだ。その表情はダチに対する、穏やかなものだった。

 さすが哲也だぜ。これが試合後の感想。
 とにかく哲也のパスワーク(トスワークっつうんだそうだ)は見事だった。打つ所に上がるっつうか、ありゃサッカーやらしたらいいだろうなあ。足下に吸い付くような処へ狙ってパス出来るだろう。うーん、勧誘したくなったぜ。
 一団から、お前次に出るんだろと急かされちまった。
 そう想っていたら、ダチ思いの一団が哲也にこっちゃ来いとの大合唱。手招きで二階へ来い来いだ。
 じゃ、そうしよっかな。そう、冷たくはないマイペースで言う哲也の表情は明らかに穏やかそのもので、二階への階段に向かっていた。だから俺も、一階への階段に向かった。
 すれ違うその瞬間も、周りには大勢の他人がいた。
 視線も言葉もくれてやれねえ瞬間。だから、
 想い出して欲しかった。

 二回戦もなんとか突破。白一年バレーの残るメンツはゴメンナサイの大合唱だった。いいぜワビは。とにかく俺に上げておけ、ワビる前にボールを拾ってくれっつって、お昼の時間と相成った。
 二階の観戦席で食った。陣地の1Bまで行くのは面倒くさかったし、まかり間違って例の二人とイッショにお食事なんたら吐き気を通り越す。しゃあねえから、一団に囲まれるカタチで食った。俺は端っこでいいっつーのに、俺の荷物は一団のド真ん中。誰も端にゃ置いといてくんなかった。そうかい、あんがとよ。
 みんな陣地へ行かねえのかっつったら、馬鹿野郎A高のド真ん中なんざメンドーくさくて歩けるか、だと。オマケに、ここは試合のいい観戦ポイントで、離れると席取られちまうだろ、と。おお、なる程な。
 B市のやつらとも久々百年ぶりだし、涙は出ねえまでも懐かしいし全員生きていて若え。これもある意味故郷孝行だ。楽しくて気の合うやつらとの方がいいってんで、集団でつるんでガツガツ合戦。いいやつらだ。ちっと昔っからおちょくってくれるが腹黒くはねえし、エラ系でもねえし、俺でもねえから人を見捨てたりはしねえしよ。
 食いながら、ミンナして試合の経過報告。俺は勝った負けちまった、三日目があるからいい。

 試合が進むにつれ、得点源はなおます俺だけになっちまった。オイオイどうなっているんだ。ホケツのヤツとか入れ替えてみたが効果なし、オマケに対戦相手は強くなる一方。俺が前衛にいる時は我ながら、ブロックにスパイクにと大活躍なんだが、後ろに下がるとサーブしかねえ。拾われたり、ネットに引っかかると、俺が前に上がるまで点取られまくり。相手のイージーミスを待つしかなかった。球技の性だなコリャ。
 ほんでも根性で勝ち上がった。これでなんとか明日も競技が出来るぜ。ほっとしたっつーか、人一倍気を使って精神的に疲れていたら、審判に声を掛けられた。バレー部三年の男子先輩。
「いい腕だな、バレー部に来ないか」
 へい、哲也をサッカー部にしてえです。
 とは言わねえで、サッカー小僧なんでっつったら、ああ二宮の後輩かと言われた。二宮っつーのは現蹴球部主将、泣く子も黙る背番号十にして、ポジション的にゃ俺のライバルだ。そうかい、おともダチすか。
 本日のバレーの試合は哲也の一戦を残すだけ。だから二階へ上がって観戦しようと思ったらまたしても声を掛けられた。今度の声はダミじゃなかったが、黄色く浮ついてもいなかった。ほんでそれは二名。
 振り向くと、小松と阿部が焦燥の面持ちで立っていた。
 ……そうかい。

 分かった、全部おわってから行く。そう言って、二階へ上がった。したら相馬やゴン、藤谷に荻原、懐かしくて涙が滲んだイトコまでが廊下を駆け降りて来た。
「どうした」
 答えの分かっている問いに、ミンナ真っ青な顔をして言った。言ってくれた。
「斉藤が」
 ……そうかい。

 さっき聞いた。俺も行く。ただし、きちんと競技がおわって、お神輿さんのシメの声を聴いてから。それまでは、オタオタしちゃいけねえ、そうだろ。
 そう、冷静に言った。背後の小松と阿部にも来いよっつって、二階へ上がらせた。
 一団に溶け込む前に、斉藤の盾たるサイッコーのやつらにこう言った。
「なあ。競技はこの通り、まだ続いている。この人数がいきなり辛気くさくなったらどうしたと思われるだろ。ちゃんと応援して、ちゃんと見舞おう」
 ほんでこいつらを引き連れて、一団へ戻った。いいやつらぞろいのこいつらは、相も変わらず明るく俺をおちょくってくれた。……あんがとよ。

 この報は、前とはちっと違った形になった。俺は阿部ひとりから聞き、いてもたってもいられなくなって動揺した。そこを阿部が俺のように説得した。さっきの盾連中は、俺が気付かなかっただけで、さっきのように階段を駆け降り成田の元へと談判に行っていた。

 二度目の俺はともかく、盾連中は冷静にとは行かねえ。どうしても雰囲気が暗くなっちまって、試合がおわるころにはB市一団にも見とがめられちまった。
 試合がきっちりおわってから、相馬が俺に、イチオ仁義は切るぜ、みてえな視線をくれてから、ミンナに説明した。
 するとミンナ、俺達も行くと言い出した。あの件聞いたぜ、どうもおかしいと思っていたんだ、イロイロ大変だったんだろ、と。こう言っちゃ何だが倒れて当然なんじゃねえのか、とまで言ってくれたやつもいた。そう、現場から離れるとある意味冷静に事態を看破出来る。
「おし行こうぜ、ただし場所が場所だ、静かにな」
 そう、冷静に言った。
 懐かしい佐々木のシメの声を聴き、各々が病院へ向かう。バスの便は無茶悪くて、遠回りだし随分待つ。ミンナで歩いて向かった。結構な距離だが、どうしてこうなったのか、とか考える為、アタマを冷静にする為にはあるい意味丁度いい距離だった。
 道中相馬が、ちっと人数多くなったがいいよな、と成田へ言っていた。構わん、多い方がいい。と、奴さんも冷静な返答だった。
 ミンナは、成田と俺が斉藤にどうのと、多かれ少なかれ気付いている。二階の一団の今日の態度が、そういう俺を励ますためとも、俺は分かっている。だから、そんな二人がほぼ同じリアクションをしたんで、ミンナは増々俺と成田が斉藤にどうのと思ったらしい。

 前よりも二十人プラスで行った病院での感想。
“何、そういうヤツいんの?”
“固まっているからナイショ”
“他に名前呼ぶ気なくてさ”
 って……?

 病院ではひとまず、後で対策の立て易い、前と同じ行動を取った。それで二十人引き連れて行くっつーのも何だが斉藤にとっちゃこれでいいんだ。コケにされるのは構わねえってんで大人しく固まっといた。なにせ固まらねえのはおかしなリアクションなんだからな。にしても、女史まで固まるかなあ、意外だった。
 ミンナして蹴っ飛ばされて病院を追い出され、気の抜けた雰囲気満々で一番駅まで集団とぼとぼ下校をした。先頭は俺だ。なにせミンナして一番駅は乗り降り慣れてねえ。先導しなけりゃ逆方向を歩いたんじゃねえ?
 俺も一応魂の抜けた風体で一番駅へ。異様な雰囲気を纏った三十名からの集団は、気の抜けた風体で四番駅以降へと向かった。乗り過ごすなとは言わなかった。ホレ、俺って今、ヨユーねえしよ。

 夕飯の支度をして親子三人無言でかっ食らう。俺が飯の支度をずっとする気でいるとは、手慣れた手つきで信用してもらえたらしく、お袋は助かっているよとありがてえことを言ってくれた。
 だもんで俺も、今日の出来事を言った。
「これでケリがついたとは思っちゃいねえけどよ」
 なにせこれからまだまだ大事件が待ち構える。……短命以外ねえ。
「とにかく、仲を邪魔しねえとか。あったかく見守ってやるとか。しか、しちゃあいけねえと思うんだ」
 今はな。
「倒れられちまったけど……今は休んだ方がいいと思う」
 そう言ったら親父は無言。お袋は、お茶の出前でもしてやりたいねえ、いい友達を持ったねえと感心していた。
「ああ、そうだぜ。なあ、お袋、親父。その人がいい友達を持てたのは、間違っても総代様のご威光で、なんかじゃねえ。ゼンブ自力で手に入れたんだ。ダチなんか一人しかいねえって、たった二か月前に言っていたのに、その次の日にゃあ、あんだけのいいやつらを自分の力で引き寄せていたんだぜ……」
 だから俺は……。

 二階へ上がってさっそく電話。
「随分明るいじゃん。ひと一人倒れたってのに、明るい気分にゃなれないね」
 ……あ。
 ほんでぶった切られた。……当然だ。
 哲也はあの事件、噂を聞いたその日から、全てをその場で解決出来るのは自分しかいなかったと言っていた。……責任、感じているんだ……。
 掛け直した。
「その通りだ。ゴメン。……反省する」
 ……駄目だ、いけねえ。……先をひとり知っているからって、余裕かまし過ぎだ。
 こっちから切って、いてもたってもいられなくて、部屋をおん出て疲れるまで走った。

...next

Powered by Movable Type